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「Go To」民宿は蚊帳の外 開始2カ月で高級旅館に人気集中

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」で、低価格が売りの民宿、ビジネスホテルが苦戦を強いられている。GoToは宿泊料金が高いほどお得感が増すためだ。22日で事業開始から2カ月。10月からは割引対象に東京発着旅行が追加され、旅行代金に応じて配布額が決まる地域共通クーポンも始まるため、一層の高級宿人気を懸念する声が出ている。

 ビジネスホテルも減

 「夏は大学生のテニス部の合宿でにぎやかになるが、今年は静かで寂しい」。石川県能登町の海水浴場近くで民宿を営む女性はため息をつく。GoToに参加登録したが、これまで利用客はゼロ。「新型コロナウイルスの感染が落ち着くまでは元に戻らないのかな」とぼやく。

 GoToは旅行代金の35%引きを先行する形でスタート。宿泊の場合、1人1泊当たり1万4000円が上限のため、代金4万円以上で割引額が最大に達する。

 広島県福山市のあるビジネスホテルも8月の利用客は昨年の6割にとどまった。もともと1泊5000円前後の料金設定で、担当者は「GoToが続く限り、客は戻らないのかも」と不満そう。

 訪日客の受け皿として増えた低価格の簡易宿所、民泊も青息吐息だ。1泊3000円程度のゲストハウス「まくや」(京都市)は、新型コロナ対策で1日2組に減らしているが、空室は埋まらない。経営者は「訪日客が戻らないと回復は難しい。給付金で支援してくれた方が今はありがたい」と話す。

 日本民泊協会(大阪市)の担当者は、GoTo開始以降、リゾートの一軒家など高価格の物件は利用が伸びた半面、マンションを活用した低価格のものは低調と指摘。休業急増で、会員は半数に減った。

 対照的なのは、普段は手が届きにくい高額プランだ。大阪市の旅行会社によると、露天風呂付き客室などが人気で、担当者は「割引額が大きく、感染対策も安心のイメージがある高級宿が選ばれている」と、分析する。

 1泊5万円満室へ

 岩手県西和賀町の温泉旅館「山人」は10月も1泊3万~5万円の客室が既に満室に近く、予約受け付けを休止。GoToで初めて訪れる人が増えたという。観光庁によると、熊本地震などの被災地を対象に過去行った「ふっこう割」の一部も、代金の一定割合を値引きしたため、高級宿に人気が集まる傾向があった。

 10月から始まる地域クーポンは、旅行代金の15%分を旅先の飲食店、土産店で使える。宿泊の場合、1人1泊当たり6000円が上限だ。

 野村総合研究所の木内登英氏は「クーポン開始と高所得者の多い東京都民追加で、高級志向が加速するのではないか」と指摘。「税金を使った事業なのに、補助が(高級プランを提供できる)大手事業者、高所得者中心となるのは問題。恩恵が行き渡るよう国は取り組むべきだ」としている。

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