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住宅着工減・価格安、木材も在庫山積み…自給率上昇に冷や水

 新型コロナウイルスの感染拡大で新設住宅着工戸数が低迷し、住宅に使う木材の在庫拡大や、取引価格下落が木材関連企業の経営に影を落としている。政府は国産材消費に重点を置き、木材自給率は2018年で36.6%と8年連続で上昇したが、コロナ禍で曲がり角に立たされた。

 農林水産省の統計で、19年にスギの素材生産量が首位だった宮崎県。外山木材(都城市)の製材工場では、丸太や建築向けの加工木材の在庫が山積みになっていた。

 新型コロナの影響が直撃し、同社の今年4~8月の製材出荷量は前年同期より1割減り、7~8月の木材在庫量も前年同期の約2倍に膨らんだ。外山勝浩常務(33)は「生産者から年間契約で丸太を仕入れており、在庫を抱えるしかない」と頭を痛めている。

 北海道産のトドマツも建築用資材で広く使われており、産地は打撃を受けている。道内の森林組合が加盟する北海道森林組合連合会(札幌市)の担当者は「市場では取引価格が下がっており、伐採の抑制を促している」と打ち明ける。

 国土交通省によると、今年7月の新設住宅着工戸数は前年同月比11.4%減の7万232戸となり、4カ月連続で2桁の減少率だった。感染拡大防止のため住宅展示場が一時閉鎖されたことや、景気の先行き不透明感などが響いた。

 住宅用の外国産木材は輸入自由化や、1985年のプラザ合意後の円高進行を背景に価格競争力を強めてきた。国産材は劣勢に立たされ、木材自給率は2002年に統計開始後で最低の18.8%に落ち込んだ。その後は上昇傾向に転じたが、コロナによる市場環境悪化が冷や水を浴びせる。

 産地の自治体は、地元産木材を使う場合に補助金を出すなどの産業保護策を急ぐ。宮城県は、新型コロナ対策として飲食店や商業施設などが県産木材を使う場合に上限150万円の補助金を出すことを決め、今月9日に申請の受け付けを開始。

 宮崎県は一定の基準を満たした住宅を新築する場合、1棟当たり100本の県産材の柱を無料で提供。今月4日に申請の受け付けを始めた。

 ただ、こうした施策でどこまで市場を下支えできるのかは不透明だ。業界関係者は「新型コロナが響き、木材関連企業の廃業が相次ぐ恐れもある」と懸念している。

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