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ファンの協力で「キハ58」維持を 鉄道遺産を守る公園の魅力向上策

 和歌山県有田川町の有田川鉄道公園には、かつてミカンの産地を走ったローカル線・有田鉄道の線路が残り、懐かしのディーゼル車などが保存されている。一部は公園内で特別運行し、来園者にも人気だが、線路や車両の老朽化が課題。公園を管理する町はインターネットで募った資金を活用し、線路の枕木を交換したり、警報機を新設したりして魅力向上に取り組んでいる。(西家尚彦)

 有田鉄道は、主に有田地方で特産の「有田みかん」を太平洋の湯浅湾に運ぶため、大正4年に港側の湯浅町と内陸の有田川町の間で開業。翌5年には有田川町のさらに内陸部まで延伸した。その後、周辺道路の発達などで利用が次第に減り、平成14年に全長約5・6キロ、5駅の路線は廃線となった。

 有田川町側の発着駅だった旧金屋口駅の跡地を町が整備し、22年に開業したのが有田川鉄道公園だ。

 公園では、かつて有田鉄道で活躍したディーゼル車「キハ58」や、岐阜県の樽見鉄道から譲渡されたレールバス「ハイモ180」、それに旧国鉄の蒸気機関車「D51」など貴重な車両を保存。旧金屋口駅に敷かれていた線路の一部が残り、土・日曜や祝日には「キハ58」などの乗車体験も実施している。

 しかし、線路の老朽化が著しく、乗車体験などに支障が出る可能性もあり、町は昨年9月、インターネットを通じたふるさと納税型クラウドファンディングで修繕費などを募集した。「希少な車両を運行している公園を、全国の鉄道ファンに知ってもらいたい」(町の担当者)との思いもあった。

 支援者には名前を刻んだプレートを枕木に取り付けたり、有田みかんを送ったりする特典や返礼もあって人気を呼び、約1カ月の募集期間で目標額の100万円を上回る155万円が約100人から集まった。

 これをもとに町は、破損のあった枕木約20本を交換し、有田鉄道の沿線で使われ放置されていた警報機も再塗装した上で公園内に移設。地元の建設会社に委託し、浮き上がったりゆがんだりした線路の改修や、線路を切り替える分岐器の再塗装なども行った。

 お盆期間中の今年8月14日には、キハ58に空気排出装置を取り付け、座席の間隔もあけるなど新型コロナウイルス感染防止策を徹底した上で特別運行を実施し、訪れた多くの鉄道ファンを楽しませた。

 大阪府和泉市の公務員の男性(38)は長男(4)と訪れ、「子供が古い列車が大好きで、実際に試乗もできて大感激でした」と話した。

 公園内の一部車両の運行や整備は、関西の鉄道会社OBや鉄道ファンら約10人でつくる町鉄道保存会が担当しているが、課題も残されている。

 保存会のメンバーで京都府向日市のバス運転手の男性(36)は「人気のキハ58は天井から雨漏れし、エンジンも故障したまま。製造から半世紀以上経過して板金塗装や窓枠の張り替えが必要な車両も多く、今後も維持に費用が掛かる」と心配する。

 公園内にある町鉄道交流館の今井敏郎館長は「全国から年間約8千人が訪れる人気スポットで、魅力の維持には町の予算のほか、必要に応じて鉄道ファンに協力を求めたい」と話している。

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