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在宅介護の支え手不足が深刻に ヘルパー求人倍率15倍、高齢化も

 介護が必要な人の自宅に訪問し、日常生活を助けるホームヘルパーの人手不足が深刻になっている。厚生労働省によると、2019年度の有効求人倍率は15.03倍。求職者1人に15件の求人がある計算だ。訪問介護の利用者はここ10年増加している。ヘルパーの高齢化も進み、在宅介護の支え手が危機的な状況だ。

 ヘルパーの仕事は大きく2つに分かれ、排泄(はいせつ)、食事、着替えの「身体介助」と掃除、洗濯、調理の「生活援助」がある。有効求人倍率は13年度には3.29倍だったが年々上昇。同じ介護職でも特別養護老人ホーム(特養)など施設の介護職は4.31倍(19年度)と大きな差がある。

 ヘルパーの平均年齢は54.3歳。年代別に見ると、60代以上が39%を占め、20代は4%にとどまる。公益財団法人「介護労働安定センター」の調査(19年度)では訪問介護事業所の81%が人手不足と答えた。

 ヘルパーは非常勤が多く、家族の扶養内で働く人も多い。京都ヘルパー連絡会(京都市)の桜庭葉子代表世話人は「介護保険が始まった20年前は他業種と比べて比較的時給が高く、資格を取ってヘルパーになる人が多かったが、その後賃金は下降傾向で人手不足に。どこの法人もぎりぎり、かつかつの人員だ」と指摘する。

 新型コロナウイルスの流行で離職者が出た事業所も多い。桜庭さんは「職員採用のために民間の職業紹介事業者に払う手数料は数十万円に上る例もある。政府や自治体に職員を安定的に確保できるように求めたい」と訴える。

 訪問介護の事業者がそろって懸念するのは「専門性を正当に評価されていない」ということだ。特に要介護度が低い人の生活援助は一部で「家政婦代わりに使われている」との批判があり、財務省は介護保険から制度を外し、市町村事業に移したい考え。

 約160人のヘルパーが所属するNPO法人グレースケア機構(東京)の柳本文貴代表は「在宅高齢者の暮らしをみとりまで含めトータルに支え、思いに添ったケアができるやりがいある仕事なので、専門性を評価して介護報酬を引き上げてほしい。このままでは事業者も疲弊して安く使い捨てられる」と懸念している。

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