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日産・ケリー被告公判 司法取引に合意した元室長が初の証言…信用性焦点

 日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(66)の役員報酬を過少記載したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告(64)と法人としての日産の公判が29日、東京地裁(下津健司裁判長)で開かれ、検察との司法取引(協議・合意制度)に合意して起訴されなかった大沼敏明元秘書室長が初の証人として出廷した。検察側は有価証券報告書の過少記載の実行役を担ったとされる元室長らの証言から、カルロス・ゴーン被告とケリー被告との共謀関係などを明らかにする方針で、弁護側は証言の信用性などを争う見通しだ。

 この日の公判で元室長は、平成22年3月に1億円以上の役員報酬開示制度が導入される見込みとなり、ゴーン被告の報酬開示額をめぐる検討に加わったと認めた上で、「未払い報酬があった」「ケリー被告から、日本人の感覚で妥当だと思う報酬額を聞かれた」などと証言。ケリー被告は産経新聞の取材に、ゴーン被告の報酬について「(実際に)減額されたと思っていた」と主張していたが、元室長は「報酬を下げるということではなかった」などと説明した。

 また、妥当な開示額をめぐり、10億円以下を意味する「ひと桁億円」という表現を用いていたとも証言。ほかに、ゴーン被告の確定した報酬額や支払い報酬額、未払い報酬額をどのように決定したかなど、細部にわたって説明を続けた。

 司法取引に合意した個人の証人尋問は今回が初めて。元室長は30年11月1日、捜査や公判に全面的に協力するのと引き換えに起訴しないという条件で検察側と合意している。ただ、司法取引では、合意した人が虚偽証言をして第三者を事件に巻き込むなど冤罪(えんざい)につながる危険性があるとの指摘もあり、弁護側も「(元室長らの証言の)信用性を吟味すべきだ」と訴えている。

 これに対し、ある検察幹部は「司法取引は供述の信用性がより厳しく判断されるが、元室長の供述は客観証拠に沿うもので、信用性に全く問題はない」と自信を見せている。

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 司法取引 事件の容疑者や被告が共犯者ら他人の犯罪の捜査に協力する代わりに、自分の起訴を見送ってもらったり、求刑を軽くしてもらったりする制度。協議・合意制度と呼ばれ、平成30年6月施行の改正刑事訴訟法で導入された。対象は贈収賄や金融商品取引法違反などの財政経済事件、薬物・銃器事件などに限定される。「三菱日立パワーシステムズ」(現三菱パワー)のタイの発電所建設に絡む外国公務員への贈賄事件で初適用され、法人は捜査に協力し不起訴処分となった。

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