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本命iPhone12登場 日本で足踏みする5G打開の追い風になるか

 第5世代(5G)移動通信システムに初めて対応した「iPhone(アイフォーン)」が発売されることで、日本の消費者もようやく5Gサービスを身近に感じることができるようになりそうだ。日本で足踏みしている5Gの普及拡大を後押しする端末として期待は大きい。

 「日本における5G普及のフックになる」。携帯電話大手の関係者は5G対応のアイフォーンの登場が、国内スマートフォン市場で5Gシフトが進む節目になるとの見方を示した。

 アイフォーンは国内で5割弱の圧倒的なシェアを握る。韓国サムスン電子や米グーグルなど世界の主要な端末メーカーが5G対応の品ぞろえを増やしてはいるが、「日本でインパクトがあるのはやはりアイフォーン」と携帯関係者は言い切る。

 5Gは「超高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という特長を持ち、暮らしや産業構造を一変させる通信基盤として期待されている。日本では商用サービスが米国や韓国より1年ほど遅れて今年3月にスタートした。

 だが、半年以上過ぎても普及の立ち上がりは鈍い。サービスを始めた矢先に新型コロナウイルスが流行。NTTドコモでは来年3月末までに250万台を売る計画だが、8月末時点で30万台にとどまった。KDDI(au)やソフトバンクも同程度とみられ「予定通りに進まず、焦りを感じている」とKDDIの高橋誠社長は危機感を隠さない。

 利用者が5Gスマホに手を伸ばしにくい理由の一つは端末の選択肢の少なさだったが、アイフォーンの登場は現状打開の追い風になる。また、通信エリアの狭さも、もう一つの足かせだが、携帯大手は政府の後押しも受けて基地局整備を急ピッチで進めており、各社とも計画を数年前倒しする予定だ。

 もっとも、端末やエリアの拡大が進展しても、5Gの性能をフルに生かした魅力的なコンテンツがなければ、5Gに消費者を引き付けるのは難しそうだ。すでに高精細な動画やゲーム、AR(拡張現実)などのサービスが提供されているが、いずれも現行の4Gを活用してもさほど大きな差はない。消費者に5Gを訴求するためのキラーコンテンツの開発が今後の普及のカギを握る。

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