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秋の旅行商戦、“近場”に力 近鉄・京阪など鉄道各社が情報発信を強化

 秋が深まる中、関西の鉄道各社が、気軽に楽しめる“近場”の旅行事業に力を入れている。新型コロナウイルスの影響で長距離旅行を避ける傾向が続いており、自然が豊かで3密(密閉、密集、密接)にならず、都市部から2時間程度で訪問できる旅先が人気という。「Go To トラベル」など政府や自治体の観光支援策も追い風に、レジャー事業回復の突破口にしたい考えだ。

 客戻る系列ホテル

 「志摩観光ホテルでは9月、前年以上の宿泊者数がありました」

 近鉄グループホールディングス(HD)傘下、近鉄・都ホテルズ(大阪市)の浜本康夫ホテル運営本部課長はそう手応えを語る。三重県志摩市にある志摩観光ホテルは2016年に主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の舞台となった高級ホテル。英虞(あご)湾に面したリゾートとして知られるが、新型コロナで4、5月は休業を余儀なくされた。

 6月に営業を再開したが苦戦。そこで強化したのが、地元や関西、東海など近距離圏に住む客層の掘り起こしだ。

 「地元の方にとっても行きづらいホテルだった」(浜本氏)が、7月には三重県在住者向けに、館内のレストランで割安に楽しめる食事メニューを開始。地元新聞への折り込み広告なども拡充し、「まず、立ち寄りやすくした」(同)。

 さらに政府が7月下旬、旅行代金を割り引く「Go To トラベル」を開始すると、3密を避け、自然を楽しみたい近隣地域からの旅行客が増え出した。同ホテルの客室棟「ザ クラシック」は、昨年夏時点では首都圏からの客が利用者全体の4割を占めていたが、今年8月には東海、関西エリアからの利用者が8割近くにのぼったという。

 京阪HDも近距離の旅行需要発掘に力を入れる。特に注力するのが、同社が主力ホテルや鉄道、ドライブウエーなどを保有する琵琶湖や比叡山周辺地域の旅行だ。大阪、京都など大都市圏に近く、山や湖などの豊かな自然を楽しめる。

 「コロナが落ち着けば、自然が多い同地域は必ず旅行需要が高まる」(樋本武史事業推進担当)との考えから、コロナ感染が拡大して以降も「過去に撮りためた写真を使いSNSで情報を配信し続けた」(同)。同地域の主力ホテルは9月の4連休では稼働率が平均90%程度になったという。利用者の多くは自動車で来る関西など周辺地域からの客だった。

 圏内宿泊プラン人気

 阪急阪神HD傘下の阪急交通社も、宝塚(兵庫県)や奈良、有馬温泉(兵庫県)など、関西圏内の宿泊プランが人気だ。緊急事態宣言が解除され、「Go To」により旅行に“お得感”が生まれると、「旅行が好きな人が旅行の回数を増やす傾向がある」(広報)と分析。「新聞への広告出稿などを拡大し、多くの旅行プランを掲載して、それぞれのメリットを比較しやすくする」(同)などの工夫を通じ利用が伸びているという。

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