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CEATEC開幕 「新常態」を見据え商機模索 非接触テーマの展示も

 家電・ITを中心に先端技術を紹介するアジア最大級の見本市「CEATEC(シーテック)2020」が20日開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大で今年は初のオンライン開催となる中、開幕直後にアクセス集中でつながりにくくなり、主催者が閲覧を一時制限する事態となるなど関心の高さをうかがわせた。各社の展示内容も新型コロナを意識したものが多く、新常態への移行を商機ととらえる姿勢が目立つ。

 「新型コロナで変化した日常生活の課題解決に向けた提案をしたい」。シーテック実施協議会の石塚茂樹会長(ソニー副会長)は、20日の開幕式典でそうあいさつした。

 今年は3つある展示エリアのうち1つを「ニューノーマルエリア」とし、新常態を見据えた技術や製品を紹介。同日のトークセッションには、普及が進むオンライン会議システム「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの創業者、エリック・ユアン最高経営責任者(CEO)が登壇した。

 シーテックではここ数年、自動車や金融といった異業種の出展が話題となってきた。これに対し、今年は経営不振で出展を取りやめていた東芝が6年ぶりに復活するなど、電機メーカーが存在感を放つ。

 その東芝は、微量の血液から短時間で13種類のがんを検知する「マイクロRNA検出装置」を紹介。富士通と理化学研究所が開発し、新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)感染シミュレーションに利用されたスーパーコンピューター「富岳」とともに、新しい価値を創造した技術や製品に贈られる賞を受賞した。

 「非接触」に焦点を当てた展示も目立つ。日立製作所は新しい会議のあり方を提案。来客の受付や検温、お茶くみなどの作業をロボットがこなし、エレベーターのボタンにも触れずに済む。同社は森ビル子会社と実証を進めている、換気や消毒といった小売店の新型コロナ対策を一元管理できるサービスも紹介している。

 シャープは文字などの情報を映し出せる透明な液晶ディスプレーを披露。オフィスや空港などで仕切りとして使うことを想定している。三菱電機は空中にボタンなどの画面を表示し、タッチパネルのように操作できる非接触のディスプレーを展示した。「非接触のため衛生的で、横からのぞき見しにくい」という。両社とも来年に製品化したい考えだ。シーテックの会期は23日までだが、展示内容は12月末まで閲覧できる。(井田通人)

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