メーカー

最後の「型抜き菓子」守る3代目 手作業製造、ネット動画で話題に

 手作業製造、ネット動画で話題

 祭りの屋台で親しまれた「型抜き」。板状の菓子に刻まれた動物や花などを上手にくりぬけば、景品がもらえる遊びだ。親子3代、約60年にわたり型抜き菓子を製造する大阪市西成区の「ハシモト」は現在、全国で唯一残るメーカーという。今年は新型コロナウイルスの影響で祭りの自粛が続き売り上げも減ったが、橋本健司社長(48)は「子供たちの『楽しい』という言葉を糧に作り続けたい」と語る。

 住宅街にある同社の作業場では、橋本さんら家族4人とパート従業員数人が、ほぼ手作業で型抜き菓子を製造している。「一番難しいのは型を生地に刻む型押し。薄く延ばした生地は時間がたつと硬くなり、微妙な力加減は機械ではできない」

 橋本さんによると、紙芝居屋が子供に売るあめを作っていた祖父が1960年ごろ、東京ではやっていた型抜きに注目。関西の紙芝居屋に売り出したところ、遊んで食べられると子供たちの間で人気となった。

 しかしテレビの普及とともに紙芝居屋が姿を消し、製造業者も次々と廃業。ハシモトもピンチに陥ったが、型抜き菓子が「夜店などにちょうどいい」と露天商の目に留まり、70年代に全国の祭りの屋台で扱われるようになったという。

 橋本さんは大学3年の時、父親が病気となったのを機に家業を継ぐと決意。父親から菓子作りを学んで2010年、3代目に就いた。コロナ以降は「お祭り関係の売り上げはほぼゼロ」となったが、型抜きのユーチューブ動画が近年話題となっており、インターネット通販サイトなどで売られている家庭用商品は順調だ。「ステイホームに合っていたのでしょう」

 同社近くの駄菓子屋「ナカオヤ」でも、1枚10円で3段階の難易度がある型抜きに挑戦できる。家族と店を訪れた西成区の藤田千智ちゃん(5)は「お魚とか難しかったけど頑張ったらできたからうれしい」とにっこり。

 橋本さんは「祭りの屋台が本格再開する前に、家などで練習してもらえたら」と話している。

【用語解説】ハシモトの型抜き菓子

 同社ではお祭り屋台向けなどの業務用のほか、家庭でも楽しめる型抜き菓子を製造している。カラフルな小箱に入ったラムネ風味の「ザ・かたぬき」は駄菓子屋やスーパー、インターネット通販で買える。通天閣やたこ焼きをデザインした「なにわのカタヌキ」、メロンなどをあしらった「北海道カタヌキ」といった地域限定商品もある。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus