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西武HD「お膝元」所沢の開発加速 グループのイメージ向上へ

 西武ホールディングス(HD)が、「お膝元」である埼玉県所沢市の開発を加速させている。西武鉄道の所沢駅に直結する大型商業施設「グランエミオ所沢」を9月に全面開業させたほか、西武園ゆうえんちは、大規模な改装工事を経て来年にリニューアルオープンさせる。エリアの魅力を高め、グループのイメージ向上につなげる狙いがある。

 西武HDにとって、所沢市は中核会社の西武鉄道が本社を構える重要拠点だ。所沢駅は西武新宿線と西武池袋線が交わる要衝であり、プロ野球・埼玉西武ライオンズの本拠地のメットライフドームも所沢市にある。

 ただ、所沢駅周辺には魅力的な商業施設が多いとはいえず、鉄道利用者が素通りしがちな街だった。西武園ゆうえんちも施設の老朽化やレジャーの多様化などで入場者数が低迷していた。

 西武園ゆうえんちは11月1日から改装工事に伴う休園期間に入る。当初は営業しながら工事を進める予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で客数が落ち込んでいることもあり、休園して工事に集中することにした。

 高度経済成長期の「昭和の町並み」の再現をコンセプトに約100億円をかけた改装を行い、新たな乗り物型アトラクションも導入する。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)の経営を立て直した、マーケティング会社「刀」の森岡毅社長にも協力を仰いだ。

 所沢駅直結のグランエミオ所沢は約130店舗が入る「大箱」で、屋上庭園なども設けて集客力向上を図った。駅西口にも、商業施設を中心としたエリアを今後数年のうちに整備する予定だ。教育、文化関連の施設の設置も検討している。

 メットライフドームでも改修を行っており、飲食、物販などの機能を強化した「ボールパーク化」を進める。

 西武HDの後藤高志社長は「所沢の街には『暮らす』『働く』『学ぶ』『遊ぶ』という生活の4要素が全てそろっている。生活応援企業として新たな所沢を作る」と強調した。

(中村智隆)

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