新型コロナウイルス感染拡大による深刻な需要減を受け、全日本空輸は「保有する大型機の半減」という抜本的な事業計画の見直しに追い込まれた。ただ、需要回復の見込みは立たず、苦境が長引けば、航空網の縮小や人員整理を進めるよう、全日空はさらに追い込まれる可能性がある。
全日空の4~8月の国際線、国内線の旅客数は前年同期比8~9割減と大きく落ち込んだ。国内線は9月末から復調しているものの、国際線は依然9割超の減少幅が続く。東京五輪・パラリンピック開催を見込んだ投資も行ってきただけに、大きな打撃となった。
全日空は空港ターミナル閉鎖や減便などでコスト削減を進めたが、需要減に追いつかず、冬の一時金見送りなど、一定額かかり続ける固定費の抜本的削減に乗り出さざるをえなくなった。大型機の半減は、固定費削減にさらに踏み込んだ格好だ。
航空業界に関し、第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「コロナで航空需要は消滅したが、産業自体をなくすわけにはいかない」と指摘する。
この考え方を踏まえると、市場に意識される可能性があるのは、国が全日空の公的支援に本格的に乗り出すかだ。海外では4月、米政府が総額320億ドル(約3兆3千億円)の公的支援の対象として、アメリカン航空など10社を選んだと発表するなどしている。
ただ、平成22年、ライバルの日本航空は経営破綻後、政府系ファンドによる公的資金投入などで再生を目指すに当たり、社員4万8千人のうち1万6千人をリストラするなど、抜本的な構造改革を進めた。全日空も「日本航空並みの身を切る改革」(市場関係者)を求める圧力が強まる可能性がありそうだ。