主張

米国版「はやぶさ」 協調と競争で前進を図れ

 米航空宇宙局(NASA)は、地球や火星の軌道近くを回る小惑星に、探査機「オシリス・レックス」を着陸させることに成功した。小惑星表面の岩石採取にも成功したとみられる。

 小惑星への着陸に成功した探査機は日本の「はやぶさ」「はやぶさ2」に続き3機目である。

 米国版「はやぶさ」とも称されるオシリス・レックスは、想定以上に表面が岩だらけだった小惑星「ベンヌ」への着地を「すべて計画通り」に成し遂げた。

 昨年、はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」への2度の着陸に成功した際、NASAは担当者をJAXA(宇宙航空研究開発機構)に派遣し技術的課題などについて議論していた。日米の連携と協力が米国版の着陸成功で実を結んだ、といえる。

 2010年に初代はやぶさが小惑星「イトカワ」から試料を持ち帰って以来、小惑星探査を先導してきた日本にとって、米国は心強いパートナーであると同時に、手強(ごわ)いライバルとなった。

 日米の協調と競争によって、太陽系の成り立ちや生命の起源に迫る小惑星探査が、大きく前進することを期待したい。

 はやぶさ2は今年12月、オシリス・レックスは23年9月に採取した試料を地球に届ける予定だ。日米のチームが試料を交換し分析結果を比較することで、より信憑(しんぴょう)性の高い成果が得られる。

 日本は米国主導の国際宇宙ステーション(ISS)計画に参加し、次の月面探査(アルテミス)計画でも米国との協力関係を維持していく。宇宙開発全般で米国と競いながら主導的な位置に立つのは難しい。しかし、小惑星探査のように得意分野で「協調と競争」の関係を築き、日本の存在感を高め主体性を発揮することは可能だろう。

 競争相手(ライバル)としてみると、米国は強大である。

 京都大の山中伸弥教授が2006年にマウスで人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製を発表すると、米国は約1年後のヒトiPS細胞で肩を並べてきた。小惑星探査でも、「はやぶさ」のアドバンテージで安心はできない。

 宇宙開発に限らず、相手も米国には限らない。科学技術の幅広い分野で、さらには産業や経済活動にも、「協調と競争」の重要性はあてはまるのではないか。

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