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環境に優しい「植物肉」人気 AI駆使し本物に近い風味に

 環境に優しく、より健康的な「植物肉」が脚光を浴び始めた。人工知能(AI)などの先端技術を駆使して生産することで、本物の肉に近い風味を楽しめるようになったためだ。家畜を育てるときにかかる水資源などを減らせるので、環境保全への期待も高い。将来的には肉市場の4分の1を占めるとの予測も飛び出した。

 「こんなに反響を集めるとは」-。新型コロナウイルス流行で逆風が吹く外食業界で、植物由来の肉を使った人気商品が相次いでいる。ハンバーガーチェーン「フレッシュネスバーガー」の「ザ・グッドバーガー」(480円)もその一つだ。

 パティにはひき肉の代わりに大豆由来の植物肉を使った。8月に首都圏の一部店舗で売り出すと「健康志向の女性客の人気が高く、想定の2倍近く売れた」(逆井里奈商品開発マネジャー)。10月から全国販売に踏み切った。

 フレッシュネスの新商品は、熊本県のベンチャー企業DAIZ(ダイズ)がパティ素材の生産を担当した。同社の強みはAIを活用したオーダーメードの大豆栽培だ。

 顧客の要望に応じ、酸素や二酸化炭素、温度、水分など数百万の組み合わせから最適な発芽条件をAIが分析。落合孝次最高技術責任者(CTO)は「外食企業など顧客の求める味や食感に細かく調整できる」と自信を示した。

 消費者の意識変化も、植物肉の市場拡大を後押ししている。家畜の飼育は膨大な水資源や土地を必要とするため「環境保護対策として植物肉が注目を集めるようになった」(落合氏)という。世界的な人口増加を背景に、将来の食料危機を懸念する声も日増しに強まっている。

 さらに「新型コロナの流行が食の進化を一段と加速させている」(国内コンサルティング会社)面もある。米国の食肉加工工場で従業員の集団感染が続いて牛肉や豚肉の供給が不足し、代替肉の重要性が再認識された。

 動物愛護や健康志向の広がりも相まって、植物肉市場は急速に拡大している。米コンサルティング会社A・T・カーニーは、2040年には植物肉が肉市場の25%を占めると予測する。

 成長市場を狙って植物肉関連のベンチャー企業が次々と誕生。日本ハムや伊藤ハムなど大手食品メーカーも開発を強化している。動物を殺さず、細胞から育てる「培養肉」の研究も本格化した。日本でも「脱ミート」が進むか注目される。

【用語解説】植物肉

 動物性の原料を使わずに、大豆や小麦、エンドウ豆、ソラマメといった植物由来の原料を加工して作った肉状の食品。生産技術の進歩で、最近は本物の肉の食感や風味を巧みに再現した商品が相次いで登場している。「ビーガン」と呼ばれる菜食主義者だけでなく、一般の消費者が気軽に食べるようになり、市場規模は世界的に拡大傾向にある。

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