--裸眼で3Dの高精細CG映像を見ることができる空間再現ディスプレー「ELF-SR1」が10月31日に発売された
「映像が飛び出す従来の3Dテレビとは違い、ディスプレーをいろんな方向からのぞきこんでも、その場に実物があるように見えるのが特徴だ」
--どのような独自技術が使われているのか
「ディスプレー上面の高速ビジョンセンサーが視聴者の目の動きを認識し、その情報をもとに、見た方向から見えるであろう映像をリアルタイムで作成する。そしてディスプレーの表面に貼り付けられたマイクロオプティカルレンズが映像を左右の目に分割し、裸眼で立体視を楽しめるようにしている」
--他社製品との違いは
「従来の方式では複数の視点分に映像を分割して処理しているため、明るさやコントラストが落ち、ホログラムのようにぼやけてしまうが、ELF-SR1は視点を独り占めするので解像度が高く、明るさやコントラストも従来のテレビと同等の画質を達成している」
--想定される利用シーンは
「パソコンで車や建築物のCGを作成する際にすぐ立体映像を確認できるほか、イベント会場や美術館などでエンターテインメントのツールとして来場者に3DCGを楽しんでもらえる。医学部の先生からは『研修で心臓の3Dデータを見るときに使っているVR(仮想現実)ゴーグルが不要になる』と歓迎の声も届いている」
--市場推定価格50万円前後だが、販売の見通しは
「銀座のソニーストアに先行展示したところ、ほとんど途切れないくらいの列ができ、体験してすぐに予約注文する人もいた。何十万台と売れるものではないが、『思ったより安い』との反応もあり、期待している」
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すずき・としゆき 東大経卒。1997年4月にソニー入社。2003年以降、テレビの商品企画やアラインアンス(提携)案件を担当。16年4月から現職。兵庫県出身。