Bizクリニック

米のTPP復帰に期待 ストレートオレンジジュースで巨大市場に勝負

 Wow-Food社長・辻慶穂

 年明けに米大統領に就任するバイデン氏は、米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への再参加を検討するだろう。やがては中国や豪州、東南アジアを含む環太平洋諸国の関税がゼロに近づき、一つのマーケットとして域内貿易が活発化すると予測する。Wow-Foodはこのグレート・パンパシフィック・エリアで、健康を軸とした飲料のリーディングブランドとして頭角を現していきたい。

 インドネシア、フィリピン、タイ、インド、豪州は平均年齢が若い。環太平洋は全て海洋だから運河を必要とせず、コンテナ船で荷物を運べる。世界で最も巨大かつ成長するマーケットとなる。このマーケットの主導権をどの国、どの企業が握るのかが今後の成長を左右する。食のマーケットでは食生活の変化とともに、健康意識の高まりがさらに進むだろう。

 既にその兆候は出ている。世界の農産物市場動向をまとめている「FreshPlaza」によると、コロナ禍で生食のオレンジの消費は25%増えた。オレンジジュースはそのまま絞ったストレートが85%増えた半面、濃縮還元は変わらなかった。これは、手軽に良質なビタミンをとることで免疫力を上げ、体を守る欲求が世界的に広がったのだろう。一方、台湾の伝統的な「お茶屋」がコーヒーショップに変わってきたように全世界、全世代が多忙になる中、食に対する指標が重量、カロリーから栄養素と効能に変化してきており、そのモニタリングが進んでいる。

 この変化に対応するためには、大規模農場におけるきめ細かい作物管理、味・鮮度を均一化するための農場プログラム設計、チルドの貿易輸送ネットワークが欠かせない。筆者が商社時代に海外で、データベース分析とファームプログラムを軸にした大規模農場経営を行った経験を生かし、Wow-Foodでは東京ドーム600個分くらいの耕地面積を有する豪州の農場と取引している。

 ハエがいない珍しい土地だ。「畑がヘルシーでないと、ジュースもヘルシーでなくなる」という考えの下、標高、勾配、影、くぼみといった土地の状態ごとに人、モノ、天候を筆者自身が目利きし、評価している。それによって「酸味と甘みのバランス」の取れた商品を生み出している。

 コールドプレス(低温搾汁)でチルド輸送のストレートオレンジジュースの価格は、米国が3.5~7ドル、欧州と中国が3~6ドル、アジアは3~5ドル。これに対してWow-Foodは2ドルくらいと安い。このバリューチェーン(価値連鎖)で、この価格は他にない。

【プロフィル】辻慶穂(つじ・よしのり) 法大経卒。ユアサ商事、西本貿易(現西本Wismettacホールディングス)を経て、2015年Wow-Foodを設立。素材本来の力を生かしたもぎたて低温搾汁のジュース「Wow-COLD PRESS」や、植物性発酵飲料「Wow-Kombucha」などを開発・販売。46歳。石川県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus