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ANDART 初心者目線でアートの楽しみ方提供

 ANDART社長・松園詩織さんに聞く

 --アート作品のシェアサービスを昨年から始めた

 「高額なアート作品を対象に、小口化した会員権(オーナー権)を購入することで共同保有できるサービスで、会員権を持つ人は作品の鑑賞イベントへの参加などさまざまな優待を受けられる。会員権は1万円から購入でき、購入額により優待内容も変わる。保有作品の価値が高まれば会員権の価値も上がるため、投資的な側面もある。米国などで、既に利用されているサービスだ」

 --サービスを始めようと思ったきっかけは

 「高額なアート作品は富裕層にアプローチが集中し、住居スペースの狭い日本では飾る場所がないとの理由で購入を諦める人も多い。作品の流通も画廊などに限定された閉鎖的な業界気質があり、初心者が入り込みにくい課題があった。そのハードルを下げ、初心者目線で新しいアートの楽しみ方を提供したいという思いがあった」

 --サービスの課題は

 「現時点の会員数は約8000人で、20~40代の一般的な会社員の男性がその中心となっている。保有作品は19点で、最近ではバスキアの貴重な作品も扱い始め、取扱額は1.7億円を突破した。現在はツイッターなどを中心に利用者を拡大しているが、やはり新しいサービスの概念を多くの人に啓(けい)蒙(もう)することが一番の課題で、今後は広告を活用した利用者の拡大も図る。また仮想現実(VR)で作品を鑑賞できるようなリアルとデジタルを融合させた新たなサービスの提供にも挑戦したいと考えている」

 --新型コロナウイルスの影響は

 「在宅勤務でビデオ会議の機会が増え、(自身が映る)背景に作品を飾りたいという声が非常に多くなった。そこで身近に置きたい10万円以下の若手アーティストの作品の販売も始めた。一連の新しいアートの楽しみ方を広げ、新たな経済圏を作ることが大きなテーマだ」

【プロフィル】松園詩織 まつぞの・しおり 学習院女子大卒。2014年サイバーエージェントに入社し、新規事業責任者として企業のデジタルマーケティングなどに従事。その後、東京ガールズコレクションを運営するWTOKYOなどを経て、18年9月にANDARTを設立し現職。神奈川県出身。

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