金融

コロナでデフレ圧力強まる 消費者物価、9年7カ月ぶり下落幅 

 新型コロナウイルスの感染拡大で物価が下落するデフレ圧力が強まっている。総務省が20日発表した10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0・7%下落の101・3で、東日本大震災が起きた平成23年3月(0・7%下落)以来、9年7カ月ぶりの下落幅だ。冬のボーナス(賞与)減額や感染第3波による自粛ムードの強まりもあり、来年まで下落傾向が続くとの見方もある。

 物価指数が前年実績を下回るのは3カ月連続だ。政府の観光支援事業「Go To トラベル」で10月から東京発着の旅行が対象になり、宿泊料が37・1%値下がりした。支援事業の影響を除けば下落幅はマイナス0・2%まで縮小する。

 このほか、原油安でガソリン代や電気代が値下がりしたほか、昨年10月に消費税増税で物価が押し上げられた反動も出た。総務省は「物価動向は観光支援事業の動向を除いて慎重に見る必要がある」としている。

 一方、物価の下落傾向は当面続きそうだ。コロナ再拡大による経済活動の抑制で原油需要の回復が遅れ、エネルギー価格の下落率は拡大する見込み。企業業績の悪化で今冬の賞与もリーマン・ショック後の21年冬(前年比9・4%減、事業規模5人以上)を上回る落ち込みが予想されている。

 感染第3波で飲食店の営業時間短縮や外出自粛の要請など対策が広がれば、持ち直しかけた個人消費が冷え込むのは避けられない。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は物価の下落幅が年末にかけ1%程度に拡大し、令和3年夏ごろまで約1年間はマイナス圏で推移すると予想する。

 物価下落と経済の縮小が連動するデフレスパイラルを懸念する声は、まだ少ない。ただ、デフレ基調が続けば政府と日本銀行は対応を迫られる可能性がある。(田辺裕晶)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus