変貌する電機 2020年代の行方

NEC、橋や電柱の劣化AI解析 既設の光ファイバー網で異常検知

 NECが既設の光ファイバー網を使って、電柱や橋の劣化、道路の混雑状況を検知する世界初の技術開発を進めている。敷設する地中や電柱の振動を人工知能(AI)が解析し、異常の有無を遠隔で判定する。約50センチごとに検知でき、理論上は100キロ以上先まで診断可能だ。災害時の活用も期待できる。

 インターネットを利用する際に広く使われる光ファイバーは、振動や音、熱の変化を捉える機能も併せ持つ。検知装置で微弱な反応を計測し、異常の予兆や通常時との変化をグラフや確率で示す。

 検知装置のある建物内の電源が確保されていれば、停電時でも交通網の寸断や建物内の逃げ遅れも把握可能になる。

 電力中央研究所(東京)との共同研究で、電柱のひび割れを75%の精度で判定することに成功した。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズとの米国での実証実験では、道路の路面状態や混雑の状況を遠隔地から把握し、通行車両の種類まで確認できた。

 「光ファイバーセンシング」と呼ばれる技術で、これまでは計測専用の特別な光ファイバーを使い、現物確認の難しい海底ケーブルの故障判断などで利用されてきた。数十年前から世界で研究されてきた技術だが、敷設コストに対して得られる情報が限られるといった課題があった。

【用語解説】光ファイバー 高速インターネットを支える光通信技術で使用するケーブル。データを光信号に変換して伝達する。主な素材に透明なガラス繊維を使い、従来の銅線などのケーブルと比べノイズの混入が少ない。多くは通信会社が回線を敷設し、2019年3月末時点の世帯カバー率は全国98.8%。第5世代(5G)移動通信システムの基盤でもあり、国は予算を計上して早期整備を目指している。

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