「技術革新によって現代では、3Dプリンターでたいていのものが作れるようになりました。それでも、数が少ない部品は人の手で作る方が早くきれいに仕上がります。『この部分をコンマ数ミリ曲げてほしい』というむちゃな要望を受けたこともあります。『スケールの目盛りはミリ単位なのに、コンマ数ミリといわれても…』と思いましたが、依頼には応えますよ」
--技術の継承にも積極的です。ものづくりの魅力をどのように若い世代に伝えていくのでしょう
「もう『職人の世界は怒られてなんぼ』という時代ではないので、押し付けるのでなく、若い子には、いくつかのやり方の中から自分で考えて選んでもらいたい。ものづくりとはただ作るのではなく、作り方を自分で考えること。作り方が正しいといいものができ、いいものができると周囲に喜んでもらえます。それは最高です。私は自分で作ったものはよくできていると思っているのですが、育てた若い子が、私が作ったものを超えるようなもの、もっときれいなものを作ってくれるといいですね」
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■やまざき・まさと
昭和39年12月9日生まれ。伊東高を卒業した58年に「当時はまだ珍しかった週休2日に魅力を感じて」、スズキに入社。以来約35年間にわたり、自動車板金工として主に試作車の部品製作に携わる。名刺の肩書は「匠(たくみ)」。近年は若手の指導にも力を入れている。伊東市出身。