東急は25日、株式投資型クラウドファンディング(CF)大手の日本クラウドキャピタル(JCC、東京都品川区)と資本業務提携したと発表した。提携に合わせてJCCに1億円を出資。両社の経営資源を持ち寄って、ベンチャー企業の育成支援を共同で展開する。
東急沿線には、IT(情報技術)を中心に数多くのベンチャー企業だけでなく、企業経営者や高所得者も集積している。不特定多数から資金を集めるCFを活用し、沿線の個人投資家からベンチャー企業に資金の流れを生み出すことで、次々とベンチャー企業が輩出されるベンチャーエコシステムの形成を目指す。
具体的には、ヘルスケアやモビリティー(移動)、地域課題の解決につながる新ビジネスなどの領域で活躍するベンチャー企業を支援対象と想定。資金調達を考える東急の起業支援プログラム参加企業にJCCを紹介したり、逆にJCCを通じて資金調達したベンチャー企業が東急グループ各社の施設などを使って開発中のサービスや技術の実証実験ができるようにする。
株式投資型CFによる資金調達は法律により年間1億円未満とされているため、東急はグループ全体との相乗効果が見込める場合は、ベンチャー企業への別途出資も検討する。将来的には、沿線の既存の中小企業にも支援対象を広げ、JCCを通じた資金調達を後押しする。
東急は持ち株会社制を導入した令和元年9月、2050年のあるべき社会像を示した「TOKYU2050VISION(ビジョン)」のなかで、「世界が憧れる街づくり」の実現を目指している。東急本体でも既存事業の強化につながる企業への投資を積極的に進める方針を示しており、JCCとの資本業務提携はその一環となる。