中小企業へのエール

行政のデジタル化推進 世界で通じる身分証システムが肝心

 現在の菅義偉内閣は仕事師内閣である。具体的な目標を定めて、それに向かって官僚組織を総動員して邁進(まいしん)する様は、まさしく仕事師だ。現下の重要テーマ「行政のデジタル化推進」であるが、その手始めとして、マイナンバーカードと運転免許証との統合を近年中に実現することが明らかになった。(京都先端科学大・旭川大客員教授 増山壽一)

 結果、財布の中にいつも携帯する免許証がマイナンバーカードと一体化することで、財布が薄くなるだけでなく、さまざまな効果が期待できる。まずは、免許更新のために警察署などに出向かずとも更新ができるようになるであろう。そして、来年3月からマイナンバーカードの健康保険証利用が一足先にはじまり、普及への大きな後押しになる。

 ただ今回のデジタル化政策の中で大きく欠けている点がある。それは「グローバル化」への対応だ。私のマイナンバーカードを見てみると、生年月日は和暦の昭和。有効期限は西暦。住所氏名は漢字となっている。また、免許証は全て和暦、日本語。健康保険証も同様だ。

 今後、マイナンバーカードだけで身分証明が可能ならば、氏名にはローマ字表記、住所もできればローマ字表記を併記でお願いしたい。最も大事な点は和暦に加えて、西暦表示も併記することである。海外にいくとあらゆる場面で身分の証明が必要になる。その際に写真付きで、住所氏名、年齢が相手に分かるようなカードとしてマイナンバーカードが機能していれば、パスポートを持ち歩く必要もない。特に自動車を運転する際の保険などでは、これまで日本の免許証をあえて英文で法定翻訳しないと、継続の割引が受けられなかったが、免許証の中にローマ字と西暦表記があれば解決する。

 はんこが必要か否かは確かに大事であるが、極めて内向きな議論である。行政のデジタル化の先にあるのは、グローバルにも通用するようなシステムを作ることである。まずはマイナンバーカードと運転免許証、そして健康保険証にローマ字と西暦表記を併用することを提言したい。中小企業においても、この世界を見据えた行動がグローバル化も後押しする。

【プロフィル】増山壽一 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。前環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。58歳。

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