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上場廃止回避へ代替案捻出焦点 増資中止オンキヨー正念場

 音響機器メーカー、オンキヨーホームエンターテイメント(旧オンキヨー)の経営再建が正念場を迎えている。主力の家庭向けAV(音響・映像)事業の不振が響き債務超過状態が続く。上場廃止が現実味を帯び、事業の分社化で再起を図る。頼みの綱の資本増強策で債務超過を解消できるかどうかが焦点となる。

 分社化で再起図る

 13日発表した2020年9月中間連結決算は、最終損益が21億円の赤字。中間決算の赤字は11年連続で、9月末時点の債務超過額は23億円だった。

 1946年設立のオンキヨーは高性能なスピーカーでブランドを確立、オーディオブームの一翼を担った。オーディオ評論家の麻倉怜士氏は「90年代までは画期的な製品を次々と生み出していた」と振り返る。

 だがスマートフォンや定額制の音楽配信サービスの普及でオーディオ市場全体が急速に縮小。「オーディオ御三家」の一角、山水電気など名門メーカーの倒産が相次いだ。オンキヨーは2015年にパイオニアのAV事業を買収して立て直しを図ったが、赤字体質からは抜け出せなかった。

 19年には家庭向けAV事業の売却を発表。他社の自動車やテレビにスピーカーを供給するOEM事業に注力し、財務を改善する構想を描いた。だが売却先の米サウンド・ユナイテッドとの間で条件が折り合わず、売却は白紙に。このため家庭向けAV事業を一転、中核に据えOEM事業などを分社して他社から提携を得やすくする方針を打ち出した。

 現状では自縄自縛

 今年8月には英領ケイマン諸島の投資ファンド「エボファンド」を引受先とし、第三者割当増資を計8回に分けて行う異例の資本増強策に出る。一度に新株を発行しない理由についてオンキヨーは「同規模の金額を引き受ける投資家を見つけることは困難」と説明した。苦肉の策といえる。

 当初見込みで約46億円を調達し、上場廃止猶予期間の来年3月までに債務超過解消を目指す計画だったが、今月24日に5回目の第三者割当増資を中止すると発表した。オンキヨー株価の低迷により資金調達額が予定を下回り、債務超過の解消を確実にすることが困難なためといい、新たな資本増強策を検討することになった。

 新たな資本増強策が見つからない場合、エボファンドを引受先とした6~8回目の第三者割当増資を実施する可能性もあるとしているが、オンキヨーによるとエボファンドは純投資目的のため、取得した株式は市場で売却している。証券マンは「ファンドによる売買が一層の株価低迷を招くというジレンマに陥っている」と指摘する。

 企業経営に詳しい早稲田大大学院の長内厚教授(経営学)は「高品質な製品を作れば売れるという時代は終わった。新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えたことをチャンスに変え、企業価値を少しでも高める必要がある」と話している。

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