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2つの政策を大転換したトルコ大統領 コロナ封じ込めに総力、物価を抑制

 トルコのエルドアン大統領が今月中旬、2つの政策をこれまでから大きく変更した。第1が新型コロナウイルス感染拡大抑制に向けた対策の強化であり、第2が物価の上昇をにらんだ金利の引き上げである。

 トルコ内務省は18日、新型コロナウイルスの抑制に向けて飲食店の営業時間短縮や週末の部分的ロックダウン(都市封鎖)という新対策を打ち出し、現地時間の20日午後8時から実施した。

 新たな対策は、具体的には主に次の5つであった。すなわち、(1)レストランやカフェなどの飲食店、ショッピングモールなどの商業施設、美容院などの営業時間を午前10時から午後8時までに制限(2)レストランおよびカフェにおける業務の持ち帰り、宅配のみへの制限(3)映画館の年内封鎖(4)追って連絡あるまでの期間における全国土での週末の部分的ロックダウン(午後8時から翌朝午前10時まで)の実施(5)65歳以上と20歳未満の市民の平日も含めた外出時間の午前10時から午後4時までへの制限-である。

 エルドアン大統領はこれらの新たな措置を議論した17日の閣議後、それまでの姿勢を180度変えて、「われわれは重大な状況に直面している。イスタンブールをはじめ感染者数・死者数が危険な水準に達したので、経済を動かしながらも一層警戒する必要がある」と述べていた。

 ちなみに、同日の感染者数、死者数はそれぞれ3819人、103人で、累計死者数は1万1704人であった。同日時点での正確な累計感染者数は分からないが、保健省は、患者数は42万人超と発表していた。

 次に金利については、トルコ中央銀行が19日の政策決定会合において、主要政策金利の1週間物レポレートを10.25%から15.00%に引き上げるとともに、物価の上昇に引き続き厳しい姿勢で臨むことを明らかにした。また同日、中央銀行は政策金利の事実上の上限といわれる後期流動性窓口(LLW)金利も14.75%から19.50%に引き上げている。

 エルドアン大統領は、従来から金利の引き上げには強硬に反対する姿勢を貫いてきていた。しかし、同大統領は、今回の金利引き上げ発表翌日の20日、イスタンブールで財界関係者に次のように述べて、金利引き上げがインフレ抑制に必要な「苦い薬」との考えを表明している。

 「われわれは、今の時点では必要ならば多少の苦い薬を飲まねばならない。自分は昨日の金利引き上げをこの枠組みで判断する。インフレが抑制されれば通貨は安定するだろう。われわれの真の目標は、まずできる限り早期にインフレ率を1桁台に落とすことである。次いで、そこから政策金利を中期目標の水準に引き下げて、金利全般を低下させることである。国内投資家には、国内外に保有する貯金類を国内景気の拡大につながる形にすることを求める」

 周知のように、エルドアン大統領は7日に大統領令でウイサル中央銀行総裁を解任し後任にアーバル元財務相を任命したほか、10日には辞任した娘婿のアルバイラク財務相の後任にエルバン元副首相を任命していた。そのアーバル新中央銀行総裁は9日に次の金融会合で利上げを考えていることを示唆する発言を行い、また、エルバン新財務相も就任時に、市場重視の改革を実施して投資環境を海外から見ても魅力あるものに改善していきたいと述べていた。

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 畑中美樹(はたなか・よしき) 慶大経卒。富士銀行、中東経済研究所カイロ事務所長、国際経済研究所主席研究員、一般財団法人国際開発センターエネルギー・環境室長などを経て、現在、同室研究顧問。東京都出身。

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