金融

東証、試される企業統治強化 「国際金融都市」構想にも水を差す

 東京証券取引所で10月1日に発生したシステム障害は、業務改善命令と宮原幸一郎社長の引責辞任により急展開した。東証は今後、親会社の日本取引所グループ(JPX)とともに、自らが旗を振ってきたコーポレートガバナンス(企業統治)の一層の強化が試される。

 JPXと東証がこの日発表した社内処分は、宮原社長辞任のほか、JPXの清田瞭最高経営責任者(CEO)や横山隆介最高情報責任者(CIO)の減給処分も含まれた。宮原氏の後任は清田氏が当面兼務する。

 「業務改善命令を厳粛かつ真摯に受け止め、再発防止と市場の信頼回復に向けて全力を尽くす」

 JPXの清田瞭最高経営責任者(CEO)は30日の記者会見でこう述べ、JPXと東証の立て直しを誓った。会見で清田氏は、「JPXも経営責任は免れない」と強調した。一方、システムを開発した富士通については、「損害賠償を求める考えは今はない。富士通には十分な責任を感じていただき、堅固なシステム設計と開発に全力を挙げることで責任を果たしてもらいたい」と述べるにとどめた。今後、取引再開のルールとともに、再び取引停止を招かないような取引システムの設計を改めて求めることになる。

 システム障害が起きたのは10月1日。株式売買システムの機器が故障し、別の機器への自動切り替えもできず、異例の終日売買停止に至った。取引再開に関するルールも不十分だった。

 東証の1日当たり売買代金は約3兆円に上り、膨大な投資機会が失われた。1999年に取引を全面的にシステム化して以降、システム障害による終日売買停止は初めて。政府が目指す「国際金融都市」構想にも水を差した。

 JPXはこの日、社外取締役による調査委員会による調査報告書も公表した。一般的な企業不祥事では、外部の弁護士などが第三者委員会を作るが、今回は社外取締役が問題の経緯や原因を調査。中長期的にIT部門の能力増強や人員強化に取り組む必要性なども提言として盛り込んだ。(米沢文)

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