Bizクリニック

おいしさ追求、共有の仲間づくりへ

 Wow-Food社長・辻慶穂

 本物のおいしさを追求し、それを共有できるコミュニティーを全世界でつくり上げていきたい。また、商品に共感してくれる仲間を増やしていきたい。いま、そのコミュニティーには「新しいものが好き」「今の社会に疑問を持つ」「おもしろいことが好き」「美意識が高い」「根が純粋」「世界が好き」「未来の子供たちにはいい食を」など、さまざまな思いを持つ人が集まってきている。

 筆者は八百屋を営む両親から生まれ、中学生のころは総菜販売、大学を卒業した後は最初の会社で貿易、海外農場の経営、2社目で北米を中心とした世界市場向けの商品開発、輸出、販売と、ローカル、グローバルの「食」に関わり続けてきた。八百屋や総菜販売の手伝いから感覚的にとらえた消費者心理は、いまも商品設計の際のベースになっている。「どんなものをつくると、人は喜び、新しい会話が生まれるか」といった知見はデータ化、プログラム化していきたい。

 30代の時は約5年間、月に2回ほど米国出張に行った。ある時、家で手が震えて皿を落とした。体の限界を感じた。なぜか体が新鮮な畑の野菜を求め、空気のきれいな土地に向かった。取れたてのホウレンソウとレタスを手に入れ、自宅で何もかけずにかぶりついた。

 体がよみがえってきた。大地の力をもらった感覚がした。科学的にはビタミン、ミネラルの作用と思う。自然の力を借りて、いきいきと生きたい。だから、その自然に恩返しをしていきたい。Wow-Foodは、人間と自然がハッピーになる循環をつくり上げたいので、価値を下げすぎるような乱売は避けている。

 欧州はこの100年間、農地を荒廃させすぎた。オーガニックの運動は、1900年代前半のドイツから起きている。土地の痛みに気づいたからだ。欧州大陸を車で移動すると、土地の痛みが観察できる。ポルトガル、スペイン、ドイツは、秋の芝生が茶色い。一方、フランスは美しい緑色をしている。フランスは昔から、土地が痛む作物の栽培、栽培方法を避けている。地力の低下が文化の低下を促し、やがては国力の低下を招くことを知っているからだろう。

 食に関わる情報を消費者と共有しながら、自分の子供たち、100年後の地力のあり方なども考え、プラスアルファの対価を支払う。それも食の選択の一つのあり方でないだろうか。Wow-Foodの低温搾汁ジュース「Wow-COLD PRESS」は、農場の果物をそのまま提供することにこだわっている。多くの仲間とともに、心地よい時間と感動を演出していきたい。

【プロフィル】辻慶穂

 つじ・よしのり 法大経卒。ユアサ商事、西本貿易(現西本Wismettacホールディングス)を経て、2015年Wow-Foodを設立。素材本来の力を生かしたもぎたて低温搾汁のジュース「Wow-COLD PRESS」や、植物性発酵飲料「Wow-Kombucha」などを開発・販売。46歳。石川県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus