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ユニクロやしまむら好調「コロナ禍で『部屋着』人気」 感染防止の新習慣に

 【近ごろ都に流行るもの】部屋着

 レナウンの破産に象徴されるように、コロナ禍による外出自粛で大打撃を受けているアパレル業界だが、“勝ち組”がこの秋から「部屋着」を強化してさらに優位性を高めている。感染防止対策で、帰宅後すぐに着替える習慣がついた人は2人に1人もいるとの調査結果もあり、新しい生活様式に伴って部屋着ニーズが拡大中だ。お気に入りのラクな服で心地よく過ごしたいお家時間。第3波への警戒が高まる今年の“冬籠もり”は部屋の換気が奨励され、例年以上に部屋着による防寒も求められている。(重松明子)

 「電車で座ったお尻のまま、自宅の椅子に座りたくない」。特に神経質でもなさそうな知人女性(28)がいう。「確かに、そうね」…。これもコロナ禍による生活様式の変化だ。

 ユニクロが9月、社会人男女400人に実施した調査によると「感染予防対策で、帰宅後すぐに服を着替えるようになった」人は48・9%。「パジャマの前にもう1組、家で着るものが必要になりました」とマーケティング部の担当者。

 「おうち時間を心地よく」をテーマに、10月から国内全813店で「UNIQLO at HOME(ユニクロアットホーム)」売り場を開設した。ふわっと軽くて暖かなファーフリースの上下セット(3289円など)や室内履きを取りそろえ、オンライン限定の人気商品「ヒートテック毛布」(5489円~)も全店で販売開始。10月の既存店+通販の同社売り上げは前年同月比116・2%に伸びた。

 11月6日にはスヌーピー柄の「ピーナッツ」コレクションも登場。また、すべすべの肌触りが心地よく、ビロード風の光沢感が上品な見た目のウルトラストレッチ素材は、近所へのお出かけにも使えそうだ。

 「男性は女性に比べて部屋着への関心が薄い」と担当者は指摘。その一方で、在宅時間の増えた親の服装をシビアに見ている子供の視線もある。「だらしない格好で叱っても、反発が生まれるだけで言うことをきいてくれない」(神奈川大人間科学部・杉山崇教授)といった専門家の見解も同社では発信。くたびれたシャツを着ていないか? 家でも清潔感が大切だ。

 全国1431店の「ファッションセンターしまむら」を展開する「しまむら」は、実売数1位の人気女性誌「リンネル」と「インレッド」(いずれも宝島社)とコラボした新ブランド「シーズンリーズンbyリン&レッド」を9月に立ち上げた。「ずっとつづく優しい暮らし」をコンセプトに、女性と家族の部屋着を中心に生活全般をコーディネートする。ナチュラルで温かみのある幅広い商品は、ワンピースが2000円前後など手ごろな“しまむら価格”だ。

 「主婦層の悩みや要望を熟知する雑誌とのタイアップで、癒しや安心を感じてもらえる商品を作りたい」と、しまむら企画室。宝島社側は流行予測からデザイン、素材や着心地までブランドディレクション全般に関与している。9月に全店で販売開始。10月に開設した通販サイトでも人気を集め、売り上げは計画比130%と好調だ。

 「『リンネル』のナチュラルさに『インレッド』のトレンド感。雑誌の持ち味と一歩先をゆく提案が生かされ、商品の出来には編集部も大変満足している」と宝島社の関川誠取締役。雑誌というわかりやすい「アイコン」により、製造現場にも目指す商品イメージが伝わりやすく、モチベーションもアップしているという。

 人気商品にも再発注をかけない「売り切れ御免」がしまむらの販売の特色であり、定期的に売り場をチェックする常連客の「しまパト」で知られる。話題の部屋着で“パトロール”の頻度も増えそうだ。

 他人の目を気にせず、個人的嗜好の服を身に着けられるのも部屋着の魅力。人となりが表れやすい。あの人はどんな服を家で着ているのか…逆に気になる!?

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