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携帯大手、値下げ競争で収益力低下も 5G投資の足かせに

 NTTドコモの新プラン発表を受けて加速が見込まれる携帯電話大手による料金値下げ競争は各社の収益力を圧迫する可能性もある。今後は超高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの本格普及を見据え、エリア整備のために膨大な投資がかさむだけに、これまでのような高収益を維持するのは難しくなりそうだ。

 「正直、価格にはかなりのインパクトがある」。ドコモの3日の発表に競合大手の関係者は本音を漏らした。ドコモは新プランのほか、現行の料金プランの値下げも月内に発表すると予告。関係者は「その中身や利用者の反応もみながら対抗策を検討しなければ」と続けた。

 値下げの舞台が今後、利用者の大半が契約する主力ブランドの既存プランに及ぶと、収益への影響も絶大だ。ソフトバンクのスマートフォン契約者数は約2500万人。主力ブランドの契約者が2千万人いると仮定し、一律に月1千円値下げしたとすると、単純計算で月200億円もの減収影響が生じる。

 一方、携帯大手は金融や法人向けなど非通信分野を伸ばし、収益の多様化も進めてきた。ドコモの井伊基之社長は「通信料は減少するが、別の付加価値サービスでどう埋めるかが経営者としての責任だ」と話した。

 ただ、コロナ禍の影響が残る中で大幅な減収要因を補うのは容易ではない。競合他社からは「ドコモが価格戦争を仕掛けてきたのは、NTTによる完全子会社化で上場会社として利益を追求しなくても良くなったからだ」との恨み節も聞かれる。

 20%を超える営業利益率が政府から「もうけすぎ」とやり玉に挙げられている携帯大手も先行き不透明感は強い。5G基地局整備でドコモが令和元年から5年間で1兆円、KDDIとソフトバンクは今後10年で2兆円超を投じる計画だが、政府の度重なる値下げ圧力への対応が、日本の産業競争力の向上に向けた5G投資拡大の足かせになる懸念もある。委(万福博之)

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