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レナウン/広栄商会 老舗一転破産、今年象徴する倒産

 ▼レナウン レナウンは11月27日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

 1902年創業の老舗企業で、名門アパレルとして高い知名度を誇っていた。60年代からレディースアパレルとして人気を博し、世界的な企業に成長した。

 しかし、安価な海外ブランドの流入などの競合激化から業績が下降。2010年以降は中国繊維大手の山東如意科技集団有限公司が第三者割当による新株発行で筆頭株主となり、山東如意グループ入りしていた。

 19年に入ると、消費税の増税や暖冬の影響で業績がさらに悪化。また、山東如意グループの香港企業に対する売掛金の回収難が発生したほか、20年は新型コロナウイルスの影響で販売が急減し5月15日、子会社から民事再生法の適用を申し立てられた。

 民事再生による経営再建を目指していたが、スポンサー選定が難航したため、同社は清算する方向にシフト。ブランドや事業の譲渡を進め、譲渡対象外の店舗や売り場の閉鎖が完了したため、今回の措置となった。

 ▼広栄商会 広栄商会は11月18日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

 同社は東証1部上場の日新のの持ち分法適用会社、新栄運輸(横浜市鶴見区)の関連会社。横浜市内でガソリンスタンドや自動車整備、レンタカーサービスなどを手掛け、2008年3月期は売上高15億7202万円を計上。

 しかし、競争激化などで19年3月期の売上高は9億2933万円に落ち込み、以降も低迷を抜け出せないなか、新栄運輸で不正経理が発覚し、同社は20年10月1日付で代表取締役専務を解任。この専務は、広栄商会の取締役を兼務していたが、10月2日付で解任された。

 新栄運輸は手形決済期日までに資金手当てができないことから10月19日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。これに連鎖する形で今回の措置となった。

【会社概要】レナウン

 ▽本社=東京都江東区

 ▽設立=2004年3月

 ▽資本金=184億7106万円

 ▽負債額=138億7900万円 (民事再生時点)

【会社概要】広栄商会

 ▽本社=横浜市鶴見区

 ▽設立=1961年11月

 ▽資本金=1600万円

 ▽約24億6000万円

 〈チェックポイント〉 注目を集めた名門レナウンの倒産は、民事再生から破産への移行で決着を迎えた。ブランドの多くはスポンサーのもとで継続するが、かつて国内アパレルのトップランカーに君臨した同社は清算し、118年の歴史に幕を下ろす。百貨店アパレルの不振や新型コロナウイルスに翻弄された2020年を象徴する倒産の一つとなった。

 広栄商会は、不正経理を発端に倒産した関連会社の影響を避けられず連鎖倒産した。同グループの経営破綻はこれで3社目となり、取引先はじめ多くの債権者が巻き込まれた。負債額は3社合計で80億円以上に及ぶ見込みだが、不透明な部分も多く、実態解明のためにも再生手続きの進捗(しんちょく)に注目が集まっている。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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