テクノロジー

純民間の月面探査実現へ前進 アイスペース 「着陸船」の管制室完成

 宇宙ベンチャーのispace(アイスペース、東京都港区)は9日、2022年に打ち上げ予定の月着陸船の管制室が完成したと発表した。同社は純民間による月面探査プロジェクト「HAKUTO(ハクト)-R」を進めており、その実現に大きく近づいた。

 東京・日本橋室町のオフィスビルの中にできた「ミッションコントロールセンター」と、欧州宇宙機関の欧州宇宙運用センター(ESOC)が所有する世界5カ所のアンテナを使って、月着陸船を制御。月着陸船の姿勢や温度などの状態を常時監視するほか、月着陸船からの画像や映像を受信する。23年に投入予定の月探査車も管制室で動かす。

 管制室には約20人が従事。打ち上げや着陸時などの重要なミッションの時には24時間体制で対応する。

 袴田武史最高経営責任者(CEO)は同日のオンライン会見で、都心部に管制室を構えた理由について、「より多くの企業と協力や連携したい。一般にも見学できるようにして、多くの人が宇宙開発に興味や関心を持てる場にしたかった」と話した。

 月着陸船は詳細設計が進み、年明けにはドイツで組み立てを始める。その後、耐久試験などを経て、22年に米宇宙ベンチャーのスペースXのロケットで打ち上げられる。

 また月着陸船の耐久性などを考慮し、着陸地点を当初想定していた緯度の高い「ラカスモティス(死の湖)」よりも南にある「ラカスソムニオラム(夢の湖)」に変更した。

 月には貴重な鉱物資源や数十億トンの水が存在するといわれており、月面探査が実現し、月への輸送技術が確立されれば、人類による宇宙経済圏の構築につながる。(松村信仁)

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