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“甘い購買”改めコスト削減

 製造業の調達・購買業務の効率化をデジタル技術で支援するA1A(エーワンエー、東京都千代田区)が提供するクラウド型見積もり査定システム「RFQクラウド」を導入する企業が増えている。2019年10月のサービス開始以降、既に約30社が導入、21年5月期末には50社に達する見込みという。業務のデジタル化を推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)の広がりや、コロナ禍でコスト削減の動きが加速していることなどが追い風になっている。

 RFQクラウドは最適価格による調達を支援し、購買部門の見積もり査定工数を大幅に削減するクラウドサービス。クラウド上に統一フォーマットの見積書を用意、取引先が直接記入することで回答状況を比べることができる。また、過去の見積もりデータを保管できるため、価格推移や類似品目との比較分析も可能となる。

 製造業の中で購買部門は、経費の節約が求められる営業や、減価低減を進めてきた生産現場に比べるとコスト意識が甘く、「指示通り、納期通り」を重視する仕事と位置付けられ、その業務一筋というベテランに任せきりで調達ノウハウや知識が属人化し、全社的に購買データが蓄積されていない企業も多い。

 このため、松原脩平社長は「購買部門はコスト見直しに向けた戦略を立てられていない未開拓分野。手掛ければコスト競争力が間違いなく改善し、プロフィットセンターになれる」と判断、製造業をターゲットにRFQクラウドの採用を呼び掛けてきた。

 既に製薬や重工業、電気通信機器メーカーなど約30社に納入実績があり、最初に導入を決めたジェネリック医薬品の沢井製薬では、見積もりプロセスの業務効率化という課題に対し、業務工数の70%削減に成功しただけでなく、高品質の原材料を適正価格で調達できるようになったという。

 システムの導入企業は調達見積もり査定の可視化によってサプライヤーの競争環境をつくれるだけでなく、「取引先として選ばれることで自社の強みを改めて認識、単なる下請けからの脱却につながる」と松原社長は指摘しており、日本のモノづくりの復活にもつながりそうだ。

 RFQクラウドの価格は、初期費用がコンサルタント料などを含めて60万円(税別)、利用料は月15万円から。

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