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アクセスエール、スイッチ一つで操作可能 重度障害者の思い伝える装置

 大阪府茨木市のベンチャー企業「アクセスエール」が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や交通事故の後遺症などで会話が困難な重度障害者用の意思伝達装置「ファイン・チャット」を発売した。大手電機メーカーの販売終了を機に独立した松尾光晴さん(55)が開発。「大切な人に思いを伝え、生きていて良かったと感じてほしい」と願う。

 松尾さんは1998年にALSで父親を亡くした。末期は意思疎通もままならなかった経験から、スイッチ一つで操作可能な意思伝達装置を考案。勤務先のパナソニックの社内ベンチャーで商品化し、計約3500台を販売したが、昨年7月に撤退が決まった。

 意思伝達装置はパソコン用ソフトが主流の一方、高齢者や子供には扱いが難しい。専用機の需要は高いが、量産コストの問題で製造会社は少ないという。生産終了後、「使用中の装置が壊れたら息子と話せなくなる」などと問い合わせが殺到。松尾さんは代替機を作る決意を固め、アクセスエールを設立した。

 開発などに必要な資金3000万円のうち、約1200万円をクラウドファンディングで集めた。ファイン・チャットは、文字盤上の平仮名が音声付きで順次点滅し、タイミング良くスイッチを押すことで文字を入力できる。それぞれの障害に対応したスイッチを取り付けることで、指や頬などがわずかでも動けば利用可能。従来の機種より画面が大きく、表示字数が増えたほか、家電用の赤外線リモコンの登録機能も追加した。

 価格は33万円。地方自治体の購入補助を受けられるといい、近くデモ機の貸し出しを始める。松尾さんは「この機械で障害を治すことはできないが、人生を楽しめる一助になれば」と話した。

 同社のホームページで製品の問い合わせを受け付けている。

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