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「四川泡菜」国際標準化、業界は対策を

 日本知財標準事務所・仲上祐斗氏

 中国四川省伝承の漬物「泡菜(ほうさい)」の要件などが11月、国際標準化機構(ISO)で国際標準「ISO24220」として認められたことを受け、中韓メディアで同標準が韓国の伝統食品「キムチ」を包含するかで論争が起きている。標準と食文化との関係や同標準の日本への影響などについて、標準戦略のコンサルタントである日本知財標準事務所の仲上祐斗氏に聞いた。

 --ISO24220はキムチを包含するのか

 「しない。ISOで最終投票前に示された最終国際標準案には塩漬け発酵野菜食品であることのほか、キムチは関係がないことが明記されている。キムチは既に国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が所管するCODEX(コーデックス、食品の国際規格)で国際標準ができている」

 --標準と伝統産品の関係に不安を覚えた生産者もいるのでは。特に日本は伝統産品が多い

 「国際標準化に各国の文化や歴史的背景は関係しない。申請者はISOの定めた透明性ある制定手順に従って正当に実行すればよい。ISO24220もこのプロセスを踏んで推進した結果、ISOで合意形成がなされた」

 --当該国の伝統とは無関係な外国人が他国の伝統食品の国際標準化を推進できる

 「そうだ。漬物などの専門家に意見を伺うべきだが、ISO24220は日本の漬物に影響を及ぼすかもしれない。幸い引っかからないとしても、日本の漬物業界など関連業界は国際展開や生産の海外拠点化を視野に入れた標準戦略を構築しておくべきだろう」

 --標準戦略はどう進めればいいか

 「まず、何を標準化することが事業や自国にとって望ましいか、標準化のメリットを検討すること。例えば、国内産品と海外産品との差別化を図るため、限定的な生産手法をベースに国際標準化を行い、国内産品を高級品、海外産品を廉価品として位置付ける戦略がある。産品の評価方法の国際標準化やブランド維持の観点から国内外での商標登録の検討も重要。世界の標準化動向に関する情報を集める仕組みの構築も大事だ」

 --今回のISO24220制定では標準や知財、品質などを管轄する中国当局が後押ししている

 「日本でも経済産業省を中心にアーリーフェーズや実行フェーズでの支援は行われている。ただ望むなら、標準化に対するアウトカムを綿密に設計した戦略と想定したアウトカムを評価する仕組みも欲しい」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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