電気事業連合会による使用済み核燃料の中間貯蔵施設(青森県むつ市)の共同利用案は、長年立地地点を決められず、福井県との約束を反故(ほご)にしてきた関西電力にとって、わずかながら前進といえる。ただ、むつ市は提案に反発。2年前に一部報道で関電の候補地とされてから同市との関係はこじれており、交渉の難航は必至だ。
関電の森本孝社長は18日、「積極的に参画したいと考えている」と、むつ市を候補地とすることを否定しなかった。
候補地選定は1997年、同社の全原発が立地する福井県の栗田幸雄知事(当時)から「県外立地」を要望されて以来の課題だった。
2017年には関電が大飯原発(同県おおい町)3、4号機再稼働の条件に、翌年の候補地表明を県側に約束。ただ、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が共同運営するむつ市の施設への相乗りを検討しているとした一部報道が出ると、宮下宗一郎市長が「地元への相談がない」と反発。結局、候補地を示せず、岩根茂樹社長(当時)は福井県に謝罪、「20年を念頭に」と先延ばしした。
杉本達治知事は10月、関電が再稼働を目指す美浜原発3号機(同県美浜町)、高浜原発1、2号機(同県高浜町)計3基の老朽原発に関し、地元同意の「前提」として、年内に候補地を示すよう求めており、後がない状態だった。
今回の電力各社による共同利用案に「これで福井県への報告を何とか形にできる」(関電幹部)。2回連続の「ゼロ回答」は避けられ「最低限のハードルは越えた」と安堵(あんど)も広がる。
むつ市との交渉は電事連が前面に立つものの、市の立地協定は東電など2社と結ばれたもので「原子力の問題は住民理解が不可欠。後からいわれて対応は簡単ではない」(市関係者)。
また、福井県では、昨年発覚した関電役員らの金品受領問題で「地元との信頼関係は地に落ちた」(杉本知事)と批判が高まっている。近く森本社長が福井県を訪問する見込みだが、県側を納得させられるかも不透明な情勢だ。(岡本祐大)