英国で新型コロナウイルス変異種の感染が拡大していることを受け、各国が英国からの入国を制限したため、欧州を中心に物流が混乱し、工場の操業停止など日本企業にも影響が出ている。すでに在宅勤務といった対策を講じている企業でも、今後新たな影響が出てくる可能性があり、感染の推移を注視する状況が当面続きそうだ。
トヨタ自動車は21日、英国とフランスの工場について、両国間の物流が停滞しているため、24日からの冬季休業を前倒しし、22日から順次稼働を停止すると発表。英国の生産拠点のうち、エンジン工場は22日から、完成車工場は23日からそれぞれ停止するほか、フランスの車両工場も22日午後から止める。一定の部品の在庫は確保しているものの、今後不足する恐れがあり、冬季休業の開始を早めた。
全日本空輸と日本航空の国内航空大手2社は、現時点で減便は予定していないが、日本からロンドン経由で各国に渡航できなくなった乗客への対応で多少の混乱が生じているという。
ただ、欧州に進出している日本企業の多くは、新型コロナが再拡大する中、すでに在宅勤務や出張禁止などの措置を徹底しており、「特に新たな対応はない」(大手総合商社)という企業が目立つ。クリスマスの時期とも重なっているため、当初の予定通り冬季休業を取る企業も少なくない。ホンダは冬季休業を前倒しせず、23日から英国工場の稼働を停止。日産自動車は冬季休業ですでに19日から英国工場の稼働を停止している。
ただ、新型コロナ変異種の感染拡大が冬季休業以降にも続いた場合は影響が避けられず、各社からは「注意深く見ている」(三菱商事)との声が出ている。