企業が抱える過剰在庫の流動化を主力事業とするマッチングワールド(東京都中央区)は、抗菌効果があり、ウイルスも不活性化できるガラスコーティング剤「ピカプロDX(デラックス)」の販売を始めた。
手袋や眼鏡必要なし
スマートフォンの液晶画面など、人が手を触れる硬い表面の保護膜塗布用として多様な販売ルートを開拓する。当面、本事業で3年後の年商30億円、同社全体で売上高100億円を見込んでおり、有力な新規事業として育成する方針だ。
スマホの液晶画面がひび割れたり傷ついたりするのを防ぐのに、ガラスやフィルムの保護シートを貼るのではなく、ガラスコーティングを施すユーザーが増えている。ピカプロDXは、コーティング剤専業メーカーのピーライズ(東京都中央区)と共同開発した製品で、塗布した直後の鉛筆硬度4H、48時間経過後9Hと従来製品と同等の硬度を確保した上で、SIAA(抗菌製品技術協会)から抗菌機能があるとの認証を得たのが特徴だ。抗ウイルス機能についても、既に外部に依頼して検証済みで、SIAAに認証申請する予定だという。
また、従来のガラスコーティング剤は、塗布する際に手袋や眼鏡を着用するなど皮膚を守る手間を強いられたが、同製品は医薬品や化粧品などにも使われる人体に無害な二酸化ケイ素を原料としているため、そうした手間が省ける。
同社に先駆け、抗菌機能付きのガラスコーティング剤を発売した企業もあるが、それらの手間に加え、冷温での保存が必要な製品となっている。これに対し、同製品は常温での保存が可能なのも大きな特徴だ。
個人向けも用意
新型コロナウイルスの集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号の環境検査では、電話機、机、テレビリモコンなど表面が硬いものから活性を持つウイルスが多く検出された。同社では同製品についても、スマホだけでなく、外食チェーン店のタッチパネルやテーブル、パチンコ・パチスロ台などさまざまなニーズがあるとみている。
このため、販売ルートも事業者向けと個人向けを並行して開拓していく。加えて、先行他社に比べ、価格も安く設定した。
価格は事業者向けで60ミリリットルボトルが3万5000円(税別)、100ミリリットルボトルが4万5000円。ちなみに60ミリリットルボトル1本でスマホ180~200台に塗布できる。既に家電量販店などと販売契約した。
個人向けにもミニパッケージのラインアップを用意。スマホ1台用が1980円、ゲーム機1台用が2980円となっており、大手インターネット販売サイトで販売を始めた。
マッチングワールドは「M-マッチングシステム」と呼ぶ独自開発のITシステムを活用して、過剰在庫を抱える企業とその在庫を必要とする企業を、匿名性を担保した上で結びつける事業を展開している。2001年の設立以来、ゲームソフトを皮切りに、玩具やDVD、雑貨、スマホなどに取扱商品を拡大し、商圏も国内からアジア全域、さらには欧米へと広げてきた。ガラスコーティング剤は同事業に続く新たな事業として育てる。