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「読売」から「東京」へ 実現するか、巨人の球団・球場一体運営 (1/2ページ)

 最も親しみと長い歴史があるプロ野球。今期も頂点を決める日本シリーズが新型コロナウイルス禍の中で開催された。結果は福岡ソフトバンクホークスが4連勝で読売ジャイアンツを下して4年連続11度目(前身の南海、ダイエーを含む)のシリーズ制覇を果たした。金満球団と揶揄(やゆ)されるがその強さには2つのパワーが原動力となる。(帝京大学教授・川上祐司)

 1つは2015年から率いる工藤公康監督のマネジメント力だ。選手育成の土台となるHAWKSベースボールパーク筑後(福岡県筑後市)を有機的に機能させ、また米アリゾナ州にあるフィジカルセラピーとパフォーマンストレーニングを一貫して行う施設との連携などの成果が常勝チームの礎を築く。

 2つ目はフランチャイズ機能にある。チーム力と比例する年俸上昇に高じて、フランチャイズに根付くマーケティング戦略の強化には所有スタジアムが中枢として有効に機能を果たす。それでも今期は新型コロナの影響で数十億円の赤字だという。

 本拠地、融通利かず

 一方、数々のワースト記録を残して敗退した読売ジャイアンツだが、最も不名誉なのはこの大一番を本拠地の東京ドームで迎えられなかったことではないか。シーズン開幕の延期により既に予約済みの都市対抗野球大会が優先されてしまう。

 資本関係がない東京ドームの営業戦略が優先され、日本で最も人気があるチームであっても融通が利かない。フランチャイズを軽視しても成り立つこのチームは現在日本シリーズで9連敗中である。

 その東京ドームを三井不動産が買収する。完全子会社化した後、20%の株式を読売新聞グループ本社に譲渡する。東京ドーム周辺を一体運営して「家族連れで楽しめるボールパーク構想」を推進し読売ジャイアンツとの連携も強化するという。これまでの完全賃貸型から一歩前進か。それとも所詮は親会社のマーケティング手段の一翼にすぎないのか。

 さて、コロナ禍で開催が危ぶまれたMLB(米大リーグ機構)。その論点は試合数に比例する選手年俸であった。結局、60試合での強行開催によりワールドシリーズも当初の日程通り開催された。全ての関係者の健康と安全への配慮などから中立地であるテキサス州アーリントンに新設されたグローブライフ・フィールドで行われた。

 NFL(米ナショナル・フットボールリーグ)の頂点を決めるスーパーボウルでは新設スタジアムでの開催が慣例となりつつある。多額のスタジアム投資の恩恵は地元への経済効果として見返りを生む。このMLBのワールドシリーズの開催でアーリントン市周辺に大きな経済的影響を及ぼす。コロナ禍でようやく日の目を見た地元レンジャーズファンはもとよりスタジアムで働く関係者の士気を後押しした。日本の京セラドーム開催とは果たす役割が違う。

 「読売」から「東京」へ

 一方、コロナ禍の日本のプロ野球。シーズン中、選手たちは「野球ができる喜び」を口にしていた。入場者が規制され、各チームの収入は大幅に落ち込む中でもサラリーキャップ制度なき日本では彼らの査定は例年通り行われている。

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