論風

日本が原子力を放棄したら…「一国安全主義」では通らない難題 (2/2ページ)

 ところが、NPT上「核兵器国」として核兵器の製造・保持を公認されている米露英仏中の5カ国にはこの保障措置義務は免除されている。だからといって中国が、全く義務を課さずに原発輸出をしてよいということではないが、実際に輸入国に対してどのような義務や条件を課しているか不明確であるのが現実だ。極論すれば、中国製原発が途上国に続々と建設されるようになったとき、核拡散のリスクが増える可能性が高くなり、その結果アジア地域などでの安全保障環境に重大な影響が出てくることは否定できない。

 日本では、国内での安全性の問題には過度と思えるほど神経質だが、こうした国際核拡散問題にはさっぱり関心が向かない。自国内だけが安全であればよいという「一国安全主義」が蔓延(まんえん)しているようだが、それでよいはずがない。反原発派の人々にもぜひ、こうした広い目線と問題意識を持ち、日本が原子力を放棄した場合に何が起こるかを真剣に考えてもらいたいものだ。

【プロフィル】金子熊夫(かねこ・くまお) 米ハーバード大学法科大学院卒。外交官として約30年間、世界各地で勤務。外務省の初代環境担当官、国連環境計画(UNEP)出向。1977年初代の原子力課長。日本国際問題研究所の研究局長、環太平洋協力委員会事務局長、外務参事官などを歴任し89年退官。東海大学教授(国際政治)を経てエネルギー戦略研究会(EEE会議)を創設。愛知県出身。

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