令和3年 経済展望

(2)IT・通信 携帯値下げ競争・DX加速

 新型コロナウイルスの流行では日本のデジタル化の遅れも浮き彫りとなった。今年は9月にデジタル庁が設置されるなど官民で巻き返しに向けた動きが加速する。新型コロナの収束が見通せない中で、テレワークやオンラインでの買い物、キャッシュレスなど非接触サービスはさらに拡大。携帯電話料金の値下げ競争も続きそうだ。

 菅義偉(すが・よしひで)政権が発足して以降、激化している携帯電話の値下げ競争をめぐっては昨年12月にNTTドコモが20ギガバイトで2980円という新料金プラン「アハモ」を発表すると、ソフトバンクも同じ内容のプランを出して追随。KDDI(au)の高橋誠社長も「対抗せざるを得ない」とした上で1月に発表する新プランで「競争力のある料金を目指す」と言及しており注目が集まる。価格面での優位性が失われた楽天も、プラン見直しの検討を開始している。

 ◆レジ情報が収益源

 デジタル技術を取り入れることでビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)や、企業同士の連携も増えそうだ。

 レジのPOS(販売時点情報管理)システムで国内の約5割、米国でも3割のシェアを持つ東芝は、同システムから得られるビッグデータを、新たな収益源として見込む。車谷暢昭社長は「多くの企業がこうしたデータを使いたいだろうし、(東芝にとっても)大きな企業価値を生み出す可能性がある」と、ビジネスの立ち上げを急ぐ考えだ。

 地方自治体や中小企業などがデジタル化していく中では多くの課題に直面することも予想される。

 豊富なノウハウを持つNTT東日本はこうした企業のDX支援に力を入れる。井上福造社長は「地域のICT(情報通信技術)総合商社になりたい」と意気込む。

 ◆新たな物流基盤を

 ネット通販などは今後も増加が予想され、日本郵便と楽天は昨年末にデジタル技術を使った物流事業での戦略的提携を発表。日本郵政の増田寛也社長は、両社が持つデータを活用し「新たな物流プラットフォームの構築を推進する」と語る。

 3月にLINEとの経営統合が完了するZホールディングスの川辺健太郎社長は「オンライン化は加速し、高齢者にも広がる」と語り、両社の連携による新サービスの立ち上げをもくろむ。

 同社を軸にキャッシュレス決済サービス合戦も新たな局面を迎えることになりそうだ。

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