プレゼンス社長・田路和也
コロナ禍において多くの企業が業績悪化に苦しむ一方、大きく売り上げを伸ばす企業も存在する。そんなコロナ禍の勝ち組には3つの共通点がある。
1つ目は「顧客ではなくファンを獲得できていること」だ。例えば、コロナ禍でも繁盛していた飲食店は、その店でなければならない理由を持つファンに支えられていた。2つ目は「会社の看板ではなく、自分の名前で勝負できる人材がいること」だ。会社の知名度やブランドに依存せずに、「あなたから買いたい」と言わせることのできる営業職の存在感は高まった。3つ目は「社内資源の配分を最適化できていること」だ。勝ち組は、以前から余剰人員、過剰労働、分不相応のオフィスなどの無駄な固定費を抑える努力をしていた。
私たちは、営業部門の時間生産性を最大化している企業しか生き残れない時代を生きている。事業成長のためには少数精鋭チームの構築が必要不可欠であり、それは大企業でも同じだ。「人員数」と「行動量」の掛け算を最大化することで勝つという大企業の営業戦略はむしろリスクに変わりつつある。
そもそも日本の少子高齢化社会において、新卒一括採用で優秀な人材を確保することを前提に事業成長を描くことには限界がある。一方、コロナ禍のリモートワーク促進により、パソコン1台で仕事が完結することに気付いた社員は少なくない。事務所から独立する芸能人が後を絶たないように、民間企業でも能力のある人材はフリーランス化を果たすだろう。
労働力人口の17%程度だった日本のフリーランス人口(2018年時点)が今後、米国並みの35%以上になることを前提とした戦略人事を行うことが急務となる。経営のあり方は、旧態依然とした「組織が個を生かす」から「個と組織を生かす」にシフトしつつあったが、コロナ禍で一気に「個が組織を生かす」時代に突入した。
筆者は、営業人事コンサルタントとして20年以上、採用・配置配属・昇進昇格・教育・評価などを科学し、営業部門の生産性を最大化する支援を行っている。当社では東京・銀座の本社をシェアオフィス化することで賃料をほぼゼロにした上、フリーランスを活用した少数精鋭チームでプロジェクトを進める「固定費ほぼゼロ経営」を実現し、売り上げを伸ばし続けている。
時間の使い方さえ変えれば、売り上げは必ず上がる。この連載では、少数精鋭の営業チームを構築し、営業部門の時間生産性を最大化する方法について解説していく。
【プロフィル】田路和也
とうじ・かずや 早大商卒。1998年パソナ入社、2000年人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社、07年プレゼンスを設立し現職。14年アポロ広告社と合併。営業部門の時間生産性向上に特化した研修・コンサルティングを提供。著書に『仕事ができる人の最高の時間術』(明日香出版社)、『HRプロファイリング』(日本経済新聞出版)がある。46歳。兵庫県出身。