2021 成長への展望

東京ガス社長・内田高史さん 再生エネ電源目標、前倒し確保目指す

 --3カ年の中期経営計画の初年度となった2020年を振り返ると

 「やはり『コロナ禍』の影響だ。20年4~6月期のガスの販売量は経験のない落ち込みで、5月は工業用と(飲食店やホテルなど向けの)業務用がそれぞれ前年比約5割減となった。その後は回復してきたが、販売量の急減は(原料である)液化天然ガス(LNG)の調達過多につながり、両面で大きな打撃を受けた」

 --21年に重点的に取り組みたいポイントは

 「当社を取り巻いている環境は、4つの『D』に集約される。デジタル化(Digitalization)、顧客の価値観の変化・多様化(Diversification)、エネルギー自由化(Deregulation)、脱炭素化(Decarbonization)-だ。変化が加速している。これらを進めながら、海外事業についてもより注力していく」

 --世界的な脱炭素化の潮流をどうみるか

 「最近始まったものではなく、ここ数年はかなりのスピードで進んでいる。エネルギー企業が、再生可能エネルギーに特化した企業に変わっていこうとするような動きもみられる。脱炭素化の流れは、決して(各国の)政府主導だけのものではなく、民間企業も呼応して動き始めているということを肌で感じている」

 --菅義偉首相は昨年10月、50年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にすると宣言した

 「(脱炭素化に)正面から向き合わざるを得ない時期に来たのだと思う。地球温暖化を食い止め、持続可能な社会を実現することを一番の目標として、世界が動き始めている。完全に『パラダイムシフト』(支配的な考え方の転換)が起きていると捉えるべきだ」

 --脱炭素化の鍵を握る再生エネは、30年までに国内外で500万キロワットの電源を確保するとしてきた

 「足元では(開発中を含めると)136万5000キロワットで、(500万キロワットは)前倒しで達成したい。洋上風力発電でも(洋上に浮かんだ)『浮体式』に力を入れる。国内では、太陽光発電や陸上風力発電の適地がなくなってきており、洋上風力で(海底に基礎をつくる)『着床式』を建てる場所も非常に少ない。残るのは浮体式だが、技術開発を含めて時間がかかる」

 --昨年3月の中期計画策定時には、国内外の再生エネに3カ年で1400億円を投資するとしていた

 「初年度に、1400億円のうちのかなりの部分を使っている。あと2年の間に1400億円を超えるかもしれない。(投資額が)上振れする可能性があるため、株主還元の在り方の見直しを併せて検討する」

【プロフィル】内田高史 うちだ・たかし 東大経卒。1979年東京ガス入社。執行役員・総合企画部長、常務・資源事業本部長、副社長・社長補佐リビングサービス本部長などを経て、2018年4月から現職。千葉県出身。

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