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料理人に自宅で調理してもらう「出張シェフ」が注目 新サービス展開で利用者増

 新型コロナウイルス禍で外食を控える流れが長期化する中で、料理人に自宅で調理してもらう「出張シェフ」の利用が増えている。依頼を受けるシェフには、飲食店から離職を余儀なくされて新サービスに活路を求める人も。巣ごもりの家でごちそうを楽しみながら、料理人を支援する動きとして注目されている。

 「初めて使うキッチンは緊張しますが、すごく勉強になります」。東京都内のマンションで、出張シェフが手際よく調理する。3時間で約10品が完成。夫と0歳児の3人家族で、育休からの復職を機に利用し始めた30代の女性医師は「外食もできないし、育児に手がかかるので本当に助かる。宅配と違い、好みを相談できるのもいい」と喜ぶ。1回7480円(食材費別)で定期利用し、毎回夕食3、4日分を調理してもらう。

 この日、担当したシェフの内山暦さん(47)は、人気店で料理長も務めたベテラン。コロナ禍で失職し、昨年9月に出張調理サービス会社「シェアダイン」(東京)に登録した。母を在宅介護しており、働く時間を選べるのが好都合な上「利用者の言葉やコメントが励みになる。介護食など、各家庭の要望に応えていきたい」と意気込む。

 新型コロナのあおりを受けた料理人のため、同社は応援プログラムを展開。衛生管理や感染予防策などの研修に加え、シェフ同士の情報交換を後押しする。離職者だけでなく、腕を磨こうと勤務先の仕事と出張調理を両立させる若手も。登録者は約900人に上る。

 調理師を育成する専門学校の中には、出張料理を進路の一つと見なす動きも。全国料理学校協会の服部幸応会長は「五輪を見込んだホテルや飲食店の採用終了とコロナ禍が重なった。卒業生の進路開拓は急務だ」と解説する。

 飲食店の客足が減り、休業や倒産が相次いだ半面、急伸したのが「ウーバーイーツ」などの食事宅配サービス。人気を受け、客席を持たずにキッチンだけで営業する新業態で再起を期す料理人もいる。「クラウドキッチン」「ゴーストレストラン」などと呼ばれる。

 大阪市東住吉区に昨秋オープンした「しょくの杜」も、そんな拠点の一つ。6~10の店がキッチンを共有し、それぞれが唐揚げやピザ、丼、ドリンク類などを宅配する仕組みで、単独出店に比べて初期費用を大幅に抑えられるメリットがある。

 「苦境に立ち向かおうと、もがいている料理人を支える場が必要だ」と代表の有迫淳二さん(41)。コロナを機に離職し、長年の夢だった自分の店を持とうと、しょくの杜で、おにぎり専門店を始めた久保安さん(47)は「異業種の料理人と自由にアイデアを出し合い、お互いが人気店となれるよう盛り上げていきたい」と力を込めた。

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