2021 成長への展望

日本郵政社長・増田寛也さん 地銀との連携拡大、リアル網を担う

 --社長就任後の1年をどう振り返るか

 「かんぽ生命保険の不正販売など問題が山積している企業のトップになることはある程度覚悟していたが、新型コロナウイルス禍では大きく見込みが狂った。前線に出向いて生の声や熱量を伝え、回数を重ねてこちらの考えを浸透させていきたかったが、コロナではそれが難しく、大変歯がゆい思いをした」

 --とはいえ、不祥事はだいぶ収まってきた

 「コロナの影響で想定より2カ月くらい遅れたものの、自粛していた保険の営業を昨年10月に再開できたのは大きな節目だ。ただ、社内処分はまだ残っている。ゆうちょ銀行でも昨年9月に不正引き出し問題が発覚しており、グループのガバナンス(企業統治)がきちんと出来上がっていなかったと反省している」

 --昨年11月に発表した来年度からの次期中期経営計画の骨子に、傘下の金融2社への出資比率を5年以内に5割以下に引き下げることを盛り込んだ

 「金融2社の経営の自由度を高めて商品群を広げた方が現場もやりやすいし、世の中の期待に応えられる。事柄自体はごく当たり前のことだ。本来は全て売却する建前だが、いきなりそこまで約束すると信頼性に欠けるので、まず期限を切って50%を下回らせ、得られた売却益を有効に使っていきたい」

 --民間金融機関の反発は強いのでは

 「メガバンクにはほとんど影響はない。地方銀行には目障りな話かもしれないが、本心では警戒感というよりは協力関係をどう築くかを考えているのではないか。うちも狭いところを取り合うつもりはなく、喜んで協力し合いたい。南都銀行などと始めているが、リアルのネットワークは郵便局が担い、地銀は地場企業の支援に経営資源を集中する必要性が高まっている」

 --グループが再成長に向かうための方策を

 「やはり鍵を握るのはデジタルだ。日々の膨大な物流データを持っているが、十分に使ってはいない。これをビッグデータ化して、商品やサービス開発に生かしたい。デジタルで物流分野をこれからもっと伸ばし、郵便の落ち込みをカバーしていく。メルカリや楽天などIT企業との提携を推進しているが、さらに積極的に進める方針で、仕込んでいる最中だ」

 --郵便局網は今後どうなるか

 「役場の支社が撤退するところにも必ず展開しているのが郵便局であり、公共インフラの最たるものだ。安易に効率化のために切ったりできないし、公共サービスのあり方としての議論が必要になる。次期中期計画の中では郵便局網の維持を基本に考えている」

【プロフィル】増田寛也 ますだ・ひろや 東大法卒。1977年建設省(現国土交通省)入省。岩手県知事、総務相、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2020年1月から現職。東京都出身。

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