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コロナワクチン保管に有効、ITEの高機能保冷剤 実験で確認

 低温物流システムを提供するアイ・ティ・イー(ITE、東京都千代田区)は、独自開発した高機能保冷剤「アイスバッテリー」が新型コロナウイルスワクチンの輸送・保管に有効なことを実証実験で確認した。これを受け同社では今後、政府に導入を働きかけていく。

 医療用医薬品卸売事業で国内トップのアルフレッサの温度管理技術研究所とITEの研究所の2カ所で1月12~14日に実験を実施。アイスバッテリーを複数個入れた16リットルアイスボックスと32リットルアイスボックスを外気温35度の恒温実験室内に置き、5分間隔で温度を計測した。32リットルボックスでは一時的な保管に使用する場合を想定し、ボックスの蓋を1時間ごとに1分間、計8回開いて温度変化を記録した。16リットルボックスでは目標とする温度帯(マイナス20度を中心とする前後5度)を24時間以上、32リットルボックスでは48時間以上維持できることを確認した。

 ワクチンの輸送・保管には超低温環境が必要で、厳格な温度管理も求められる。このため政府はドライアイス入り保冷ボックスや、マイナス70~同20度での保管可能な超低温冷凍庫を準備し、全国に配備する計画だ。

 しかし冷凍庫は高価な上、災害などによる停電時には使えず、温度管理に失敗するとワクチンの効力が失われる。アイスバッテリーは凍結時を除き電源が不要なため、こうした不安を取り除くことができる。ドライアイスも使わない。

 ITEは2007年設立。一定温度・湿度で長時間保管可能なアイスバッテリーを独自開発し、電源不要な低温物流システムとして温度管理に敏感な医療・化学、生鮮食品など長時間の保冷輸送や、普通車での冷蔵・冷凍輸送が求められる物流などで使われてきた。

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