金融

地銀の決断が地元経済の命運握る 統合回避、連合で効率化も

 福井銀行が同じ県内の福邦銀行を傘下に収める形での経営統合を発表した。菅政権は地方銀行の再編を看板政策に掲げるが、統合を避け、他行との緩やかな連合で効率化を図る地銀も多い。地域経済の牽引(けんいん)役である地銀の決断はそれぞれの銀行の命運を握るだけでなく、地元企業や住民にも大きな影響を与えることになる。

 地銀再編で一般的なのは同一県内の統合だ。今月1日に発足した新潟県の第四北越銀行は、2つの銀行が2018年に持ち株会社方式で統合。両行の融和に一定の時間をかけて銀行同士を合併させた。今年5月1日に設立予定の三重県の三十三銀行も同じパターンだ。

 商圏が重なる再編は、システムや事務部門の一本化に加え、店舗の統廃合などでコスト削減を進めやすい。貸出金利の引き下げ競争から逃れられる利点もある。半面、顧客側は銀行の選択肢が減り、サービスが低下する恐れがある。

 独立性を残したまま提携効果を追求する例もある。静岡銀行と山梨中央銀行は昨年10月に包括提携を決めた。基幹システムの共通化や店舗の共同化に加え、お互いの株式も持ち合うが、統合は否定する。互いの基盤を生かす「地銀のモデルケース」(静岡銀の柴田久頭取)を志向する。

 同じく独立性を重視するのが地銀連合「TSUBASA(つばさ)アライアンス」だ。群馬銀行や千葉銀行など10行が参加し、システムや事務の共同化などでコスト削減を目指す。

 証券会社やネット銀行を傘下に持つSBIホールディングスは19年以降、島根銀行や福島銀行など7地銀と資本業務提携を締結。地銀側の狙いは、SBIが持つ資産運用ノウハウや金融商品を生かした収益力の強化だ。

 こうした連携は経営者や従業員にとっての心理的なハードルは低いが、コスト削減効果は限定的で、地銀を取り巻く荒波を乗り越えるには踏み込み不足との見方も根強い。

 独立を強調する提携が多いのは経営統合への拒否感が強いことの裏返しだ。地銀トップは地元経済界の“顔”。そんな自尊心もあり、金融庁幹部には「自分の代は乗り切れると安穏としている経営者もいる」と映る。「だが」と、この幹部は続けた。「それはもう許さないのが菅首相だ」

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