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コロナ禍の生活支えるアプリ相次ぐ IT格差も解消、消費者がDX牽引

 スマートフォンの「Cookpad mart」アプリをタップする。産地直送やシーズンのおでん、卵などの定番商品を“ウインドーショッピング”してから、「翌日お届け」の店舗一覧に進む。これは料理レシピ配信サイトのクックパッドが昨春から始めた、野菜や肉、鮮魚などの配送サービスである。

 届け先は、コンビニやマンションなどに設置された、専用の冷蔵庫である。注文主は、翌日午後5時以降に商品を取りに行く。

 本マグロの切り落とし、スダチ、野菜のサラダセット、日南どり・もも肉串(2本)を注文してみた。翌日に指定しておいた、ファミリーマートの店に行って、サービス専用の冷蔵庫を送られてきたQRコードで開く。受け取り名もあらかじめニックネームで登録してある。注文した商品が、引き出しのようなボックスに商品ごとに入っている。支払いは、登録しておいたクレジットカードで決済された。消費税を含めて計1304円だった。

 レストラン検索・予約サイトの「食べログ」がやはり昨春からサービスを始めた、アプリ「テイクアウト」を試す。「Uber Eats」が、商品を注文して運ばれるのを待つ、現代版出前であるのに対して、このサービスは注文主が、受け取りの時刻を指定して受け取る仕組みである。仕事帰りに夕食を取って自宅に帰るあるいは、混み合った店内の飲食を避けるためといった需要にこたえているようだ。

 最寄りの駅近くの天ぷら屋に午後6時指定で、夕食の天丼を頼んだ。天丼一つ768円。クレジット決済である。取りに行くと、手ごろな値段が売りの店は若者たちで満席近かった。

 コロナ禍の下で、生活を支えるアプリが続々と登場している中で、伝統的な生協の宅配も気を吐いている。日本生活協同組合連合会の売上高の統計によると、昨年10月は宅配が前年に比べて20.6%増えている。こうした傾向は4月以降一貫した傾向である。宅配という買い物習慣は、コロナによっていっそう需要を伸ばしていると同時に、そうした潮流はさまざまなアプリの普及を後押ししているのである。

 若者層とシニア層の「デジタルデバイド」の断絶は急速に消えようとしている。モバイル社会研究所の調査によると、スマートフォンの2020年の普及率は、60代で約7割、70代でも約5割である。インターネットショッピングの利用状況をみても、60代男性の34%、70代男性の15%が。女性では、60代が26%、70代が10%使っている。

 消費者が牽引(けんいん)する、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、コロナ禍の中でその流れを速めている。菅義偉内閣の政策の「1丁目1番地」である、デジタル政策はどうか。

 今春設立されるデジタル庁は、民間の人材を22日まで募集中である。「アプリケーション開発エンジニア」の職種があり、政府もようやくパソコンベースのシステムからアプリを活用したシステムを本格的に導入しようとしている。

 行政改革担当相の河野太郎氏は、文藝春秋2月に寄稿した「DXは国民の幸福のためにある」と題する論文で、コロナ禍ばかりではなく大規模災害の際の支援について「デジタル化が進めば全員一律の支援ではなく、子供や配偶者の有無、仕事や年収などを考慮し、本当の支援が必要な人を探し出し、ピンポイントで十分な支援を届けられるようになる」としている。そのヒントは、スマホ向けのアプリにありそうだ。

 田部康喜(たべ・こうき) 東日本国際大学客員教授。東北大法卒。朝日新聞経済記者を20年近く務め、論説委員、ソフトバンク広報室長などを経て現職。福島県出身。 

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