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米車市場に見える貧富の格差 低所得者向け販売不振、高額SUVなど伸長 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、米国の自動車市場における「持てる者と持たざる者」の格差を鮮明にしている。ロックダウン(都市封鎖)で数百万人の低所得者層の雇用が失われた一方、在宅勤務に従事するホワイトカラー層で外食や旅行に使えないお金を高価な自動車購入に充てる人は少なくない。

 若年層は市場退出

 感染対策で経済活動が停止し、顧客との対面接触が多いサービス業の低賃金労働がまず消失する方向をたどった。一方、主に富裕層が資産を保有する金融市場は労働市場を大きく上回る勢いで息を吹き返した。これは「K字型回復」と呼ばれ、コロナ禍によって階層や人種、性別で所得や貧富の格差は広がった。

 同様の現象が自動車市場でも起きている。販売店で高級トラックやスポーツ用多目的車(SUV)が飛ぶように売れる半面、エントリーレベルのコンパクトカーやクロスオーバー車の販売は落ち込んだままだ。

 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のフルサイズSUV「シボレー・タホ」「GMCユーコン」などプレミアムタイプのモデルは昨年10~12月期の納入台数が30%以上増えたが、手頃な価格の小型・中型クロスオーバーSUV「シボレー・エクイノックス」の販売は22%減少した。

 同業の米フォード・モーターが6日発表した2020年米新車販売台数では、「エクスプローラー」など大型で高価なSUVの販売は大きく伸びた半面、「エスケープ」「エコスポーツ」など小型・中型で手頃な価格のモデルは振るわなかった。

 トヨタ自動車の中型SUV「レクサスGX」は昨年終盤の数カ月の販売が大きく伸び、独フォルクスワーゲン(VW)の高級車ブランド、ポルシェは昨年の米市場業績が過去2番目に良かった。

 調査会社コックス・オートモーティブ傘下、自動車購入ウェブサイト、オートトレーダー・ドット・コムのエグゼクティブアナリスト、ミシェル・クレブス氏は「お金のある人々はフル装備のSUVやピックアップトラックに大金を費やしている。対極にある人々の多くは若年層で、信用度が高くなく、新車市場から締め出される傾向が強まっている。また、パンデミックで失業しがちで、所得は減少している」と話す。

 IT企業が集まるサンフランシスコのベイエリア一帯でクライスラーやダッジ、ジープ、ラムの販売代理店を持つカルロス・ヒダルゴ氏は、販売する車から経済格差が感じられるといい、「ここはハイテク産業の中心地だ。つまり、多くの人々が在宅勤務を続けており、まだお金がある」と話す。

 コックス・オートモーティブによると、新車のメーカー希望小売価格の平均は昨年12月に初めて4万ドル(約415万円)に達した。ここ数年来の新車価格上昇は、高額の新技術搭載や価格の高いSUVやトラックに需要が移行しているからだ。昨春の工場の操業停止で供給が制限され、価格は記録的水準に上昇、値引きはほとんどなかった。

 トヨタ自動車レクサス部門のグループ・バイス・プレジデント兼ゼネラルマネジャー、アンドリュー・ギレランド氏は「より高額な装飾品を望む人は多く、結果的に価格が上昇している。業界全体に当てはまると思う」と明かす。

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