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過去最大減の訪日客数 令和12年に「6千万人」は楽観できず

 令和2年の訪日客数が過去最大の下げ幅を記録する一方、政府は「令和12年に6千万人」の訪日客数目標を堅持する構えだ。しかし変異種の感染拡大など新型コロナには不安定要素も多く、往来制限が撤廃されたとしても訪日客回復への見通しは暗い。

 「やむを得ない面もあるが、4千万人の目標を考えれば非常に残念」。20日の記者会見で蒲生篤実観光庁長官は訪日客数の実績についてこう述べた。2年の実績は平成10年の410万6千人と同水準。20年余りの訪日客増加に向けた政策効果がコロナで吹き飛んだといえる。

 それでも蒲生氏は日本の自然、気候、文化、食という観光の4要素について他国と比較した優位性を強調。「観光資源は失われていないことをPRしないといけない」と前を向く。

 観光庁は令和3年度予算でも、欧米富裕層に人気があり、大自然を体験できる「アドベンチャーツーリズム」の支援予算を確保。またWi-Fiスポットなど、訪日客受け入れ環境の整備にも努める。

 ただ、訪日客数は新型コロナ前の令和元年段階で伸びが鈍化していた。新型コロナのワクチンの普及などで6年ごろにコロナ前の水準である3千万人規模まで回復したとしても、12年までに6千万人まで引き上げることは容易ではない。蒲生氏は「業界の努力と政策を集中させれば10年で達成できる期待もある」とするが、楽観できる状況とはいえなそうだ。(大坪玲央)

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