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2021年、米バイデン新政権での政策転換に注目

 2021年が明けた。日本では糟谷敏秀特許庁長官が年頭所感で特許出願などの減少による産業界の将来を案じる一方、全申請手続きのデジタル化推進計画策定を掲げた。産業界からはステイホームで分断された社内組織再生の流れの中、知財活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)検討を課題にする声が聞かれる。このように日本では、事業基盤や働き方面での取り組みが焦点である。

 注目は米国、バイデン政権の行方だ。「バスチーユのつもりか」とは米大都市在住の日本人弁護士。6日、両院総会へ乱入したトランプ支持者に憤る。トランプ氏が中国を激しくたたいた結果、アジア系人種が暴漢に襲われる危険性に日本帰国を考え続けてきた。だが中国の技術盗用は今や国防問題となっている。「中国が世界的に批判されるようになり、バイデン政権もそれほど中国に迎合する必要はないのでは。何事もやりすぎると社会が一気にダメになることを学んだ」と付け加えた。

 中国はどうか。北京在住の日本人弁護士は「現状、知財侵害の多さも訴訟での侵害立証の難しさも変わらず、実務上は知財保護環境がすごく改善された感触はない。だが最高人民法院で新たな法律・司法解釈が出され、証拠、司法鑑定などを改善させる動きもあり、今年は知財保護がしやすい環境となることが期待されている」と話す。バイデン政権の中国知財問題への姿勢が問われる。

 米国の知財政策転換も注目される。オバマ政権は国内の知財訴訟乱発を抑止するためプロパテント(知財制度重視)から脱してアンチパテント政策を進めたが、トランプ政権ではプロパテントに戻そうとした。日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所知的財産部は、連邦議会選挙後に知財関連議員は上院で共和党16人、民主党10人、下院で共和党8人、民主党10人となったと分析しているが、どうなるか。

 米国特許庁長官は政治任用ポストだが、オバマ政権ではアンチパテント政策を主張するIT業界から元グーグルのミッシェル・リー氏が務めた。トランプ政権は知財訴訟弁護士のアンドレ・イアンク弁護士を抜擢(ばってき)した。バイデン政権では再びIT業界出身者を推す声が聞かれるが、新型コロナウイルス感染症が収束しない中、知財重視の医薬業界からの声も無視できないとみられている。

 プラットフォーマーの脅威が顕在化する中、反トラスト局長など米国司法省人事も注目される。特許情報の検索や翻訳などで高度な技術を持つ彼らは知財活動をする人々にとっても大きな影響力を持っているからだ。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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