2021 成長への展望

明治安田生命保険社長・根岸秋男さん 地域貢献へ23年度まで500億円融資枠

 --新型コロナウイルス禍で働き方改革が加速した

 「デジタルの活用によって仕事の仕方に工夫の余地があることが分かった。採用数は維持したまま、自然減により、10年間で職員数の25%縮減を目指す。一方で、ビジネスは成長させる。営業職員は昨年9月末時点の3.5万人から4万人に増やす。全従業員がやりがいを持って働ける集団を作ることが前提だ。中高年の活躍にも期待している。10年間のうちに定年を現行の65歳から70歳に引き上げる」

 --低金利環境が続く中で資産運用戦略は

 「資産運用は大改革の途上だ。ビッグデータや人工知能(AI)の活用などデジタル化や専門人材の育成に取り組んでいる。運用は多様化・多角化する。従来は日本国債中心だったが、今後は日本国債だけでは運用できない。(配当金の受け取りなど)インカムゲイン重視の運用を脱却し、(資産売却益など)キャピタルゲインも含めて、生命保険会社らしい総合収益の取り方にチャレンジしたい」

 --商品戦略の考え方は

 「病気の早期発見や重症化予防まで含めた健康増進の取り組みが大事だ。健康度を上げるためのインセンティブを付与する商品を展開している。年明け発売した認知症保険は認知症の早期発見とリハビリを後押しする商品だ。この仕組みを他の疾病の早期発見・重症化予防の領域にも広げていく。新規契約者を開拓するためのシリーズで、ケガに備える保険も発売した。新しい契約者と出会う段階、既契約者との関係を深化させる段階、それぞれの段階で商品を使い分ける」

 --長期契約者に対する新配当の狙いは

 「既契約者の場合、どんなに経営が効率化しても、海外企業を買収して収益を拡大しても、保険料には反映されない。20年以上の長期契約者に対し、貢献度に応じて内部留保を取り崩して還元する。収益が一定の数値以下であれば付与できないなど、あらかじめ下限は示したい。株式配当の多寡によって経営責任を問われる株式会社と同じように緊張感を持ち、かつ相互会社らしく対応したい」

 --地域経済の活性化にどう貢献していくか

 「地域の持続可能な生活環境や雇用を支える地元企業に対し、2023年度までで500億円の融資枠を設定した。20年度上半期の融資実績は約115億円。従来は大企業中心に融資していたが、目線を地域の中小企業にも向ける。スポーツを活用しながら、地域の人を元気にする活動にも取り組んでいる。コロナ禍で経済圏が地方に広がっていく流れに貢献したい」

【プロフィル】根岸秋男 ねぎし・あきお 早大理工卒、1981年明治生命保険(現明治安田生命保険)入社。執行役営業企画部長、常務執行役などを経て2013年7月から現職。埼玉県出身。

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