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牛追いドローンで負担軽減 北海道、人手不足解消に最新技術

 はるかかなたまで牧草地が広がる北海道北部の豊富町にある「大規模草地育成牧場」。昨年10月、放牧されている牛の数十メートル上空を小型無人機ドローンが録音した犬の鳴き声を再生しつつすいすいと移動していた。人に代わってのドローンの牛追い。高齢化などで酪農家の人手不足が深刻化する中、道内では最新技術を使って乗り切ろうとする試みが始まっている。

 東京ドーム約300個分の広さがあるこの牧場は沢正樹さん(66)が代表を務める豊富町振興公社が管理、運営。千数百頭の乳牛がおり、数~十数ヘクタールごとの区画にそれぞれ200頭ほどが放牧されている。牛追いは春から秋の放牧期間中は毎朝行われる。

 担当者は1区画当たり1時間弱かけ、発情期や健康状態の確認のため、牛追いして散らばる乳牛を区画内やその近くにある「パドック」と呼ばれる場所に集める。起伏の激しい牧草地を歩いて回る重労働で、沢さんは「担当する従業員が辞めたら代わりはなかなか見つからない」と嘆く。

 全国の乳牛飼育頭数のうち半分以上を占める北海道だが、農林水産省の統計によると、2000年に約9950戸あった道内の飼育戸数は、高齢化による廃業のほか、大規模化が進み20年には約5840戸にまで減少した。

 乳牛の管理を省力化できないかと頭を悩ませていた沢さんは18年、NTTドコモに相談。同社からドローンの活用を持ちかけられ、牧場で試しに飛ばしてみると、音に反応して牛が集まってきたという。これをヒントに、牛追いに活用できないかと19年に実証事業が始まった。

 今では広大な牧草地を歩き回る必要が無くなり、牛追いに費やす時間は5~10分程度にまで減少。担当する従業員は「作業が楽になった」と笑顔で話す。ドローンのおかげで動かなくなり、太ったと話すスタッフも。20年からは事前に登録した飛行ルートに沿って自動的に飛ばす実証事業も始まっており、さらに作業が簡単になることが見込まれる。

 NTTドコモによると、ドローンの導入にかかる初期費用は約30万円。同社は他にもドローンによる柵の点検や牧草の生育状況の確認ができる取り組みなど酪農を含む第1次産業の分野でさまざまなサービス提供を全国に広めたい考えだ。

 沢さんは「こうした最新技術を導入して負担を減らすことで就労者の増加につながればいい」と期待を語った。

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